大西洋に浮かぶポルトガル領アゾレス諸島の美しい島、サンミゲル島を舞台に幕を開けたERCヨーロッパ・ラリー選手権。3月30~4月1日に行われたその開幕戦で、地元ポルトガル人ドライバーのブルーノ・マガラエスが、自身3度目となる母国イベント勝利を挙げた。
かつて2008年と2010年にもアゾレス・エアライン・ラリーに参戦し、優勝を果たしているマガラエスは、18カ月ぶりの参戦となるグラベル・イベントで見事な走りをみせ、初めてのドライブとなるシュコダ・ファビアR5をポディウムの頂点に運んだ。
ERCの2年連続王者であるカエタン・カエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)がデイ2オープニングでクラッシュを喫するという波乱続きのラリーのなか、マガラエスは常にトップ5圏内のタイムをキープ。新車への理解を深めると同時に自信を得ると、初日は3番手でフィニッシュする。
全4SSのデイ1でふたつのトップタイムをマークしてリーダーに躍り出たのは、アレクセイ・ルカヤナクのフォード・フィエスタR5。2番手である、昨年の同ラリー勝者リカルド・モーラ(フォード・フィエスタR5)に41.3秒の大量リードを築いた。
しかし、迎えた土曜デイ2ではラリーリーダーのロシア人、ルカヤナクに試練が重なる。この日ふたつめのステージでジャンプの着地で姿勢を崩したフィエスタは、マシン後部をウォールにヒットしリヤウインドウを破損。トップタイムをマークしたものの、ダメージが蓄積したマシンは翌日デイ3のSS12でステアリングアーム破損のトラブルへとつながり万事休す。
SS9でこのラリーで初となるトップタイムを記録し、追い上げを開始していたマガラエスは、続く25.62kmのSS10でも最速をマーク。2番手モーラを9.3秒逆転し首位浮上を果たした。
最終日デイ3は、2位陥落の昨年王者モーラのフィエスタにも不運が襲う。SS12でマシントラブルが発生し、2年連続優勝の望みが絶たれる結果となった。
これで43.9秒のマージンを得たマガラエスは、最終SSでそのリードを1分34秒4まで広げフィニッシュ。同時に選手権が掛けられているポルトガル選手権でも開幕戦ウイナーとなった。
「こんな結果は期待していなかったよ」とポディウム上で喜びを語るマガラエス。
「本当に素晴らしいラリーで、完璧な週末になった。家族やすべての人の支援に感謝しているし、この結果が今季のERCプログラム継続を助けてくれることを願っている」
総合2位に入ったのは、昨年のキプロスでERCのトップカテゴリーデビューを果たしたマリアン・グリーベルのシュコダ・ファビアR5で、このドイツ人ドライバーが今季最初のERCジュニアU28の勝者ともなった。
総合3位(U28・2位)にはアイルランド人のジョシュ・モファット(フォード・フィエスタR5)、同4位には初日ギヤボックストラブルから驚異のリカバリーを果たしたプジョー・ラリー・アカデミーのぺぺ・ロペス(プジョー208T16)が入っている。
2WDのR2カテゴリー車両で争われるERCジュニアU27は、2015年にもこのカテゴリーでクラス優勝を果たしているイギリス人のトム・イングラム(オペル・アダムR2)が、オペル・ラリー・ジュニアのチームメイトであるヤリ・ハンチュネンのトラブルにも助けられ、今季最初のウイナーとなっている。