就職活動では、学生が企業に応募し、会社説明会や面接に足を運ぶのが普通だ。しかし関西の私立大学に通う杉下康平さん(23)は、クラウドファンディングの支援者と面接するという新しい方法で就活を行っている。すでに3社が支援し、面接の約束を取り付けているという。
「不採用につながる30のノウハウ」がまとめられた小冊子をプレゼント
2月中旬、クラウドファンディングのプラットフォーム「CAMPFIRE」に、「『就活の若大将』杉下康平の新卒採用ページはこちらです。」という企画が現れた。「一緒に働いてくれる企業」を探すことが目的で、資金を援助してくれた企業と面接を行うという。お金をもらって、企業と面接するという仕組みだ。
4000円の支援をすると杉下さんにスカイプ面接ができる。さらに杉下さん自作の『お祈り間違いなし!絶対内定が貰えない就活テクニック30』、または『世界のエリートが実践しない、たった30のビジネスマナー』が貰える。
『テクニック30』には「就職活動において不採用につながる30のノウハウ」がまとめられており、『30のビジネスマナー』には「あの伝説の営業マンや、あの伝説の商社マンが使わない30のビジネスマナー」が掲載されているという。いずれも、「週刊少年ジャンプ」などで9年に渡り、ハガキ職人として活躍してきた杉下さんの「大喜利力」が生かされたジョークグッズだ。
また6000円の「面接プラン」では、杉下さんが支援企業へと面接を受けに行く。さらには15000円で内定を出す「いっそ内定プラン」まで用意されている。ただし残念ながら「辞退させていただく可能性もあります」とのことだ。
採用企業でなくとも、クラウドファンディングに参加することができる。3000円を支援する「応援プランA」では、『テクニック30』が、同じく3000円の「応援プランB」では『30のビジネスマナー』がそれぞれ贈られる。
普通の就活もしたけど「真人間にはなれませんでした」
かなりユニークな試みだが、どういったきっかけでこの企画を思いついたのだろう。杉下さん本人は次のように語った。
「去年の冬ごろ、『逆求人』という学生主体の就活があることを学びました。またCAMPFIREでインターンをしていたとき、フリー素材モデルのたけべともこさんがクラウドファンディングでお見合い相手を募集しているのを見て、こういう使い方もあるのかと思ったんです。これで就活をやってみようかなと思いました」
こうした就活を始める前に「普通の就活」を試みたこともあった。
「去年の秋ごろから、真面目に就職活動の準備を始めました。しかし心からワクワクすることはできませんでした。真人間にはなれなかったんです。自分のやりたいことをやろうと思い、クラウドファンディングでの就活を始めました。意外と好意的な反応が多く、嬉しく思っています。このプロジェクト以外にも、アウトロー採用を通して就活を行っています。特に志望業界や志望職種があるわけではなく、『発想力を生かして人々を笑顔にできるか』、『働いている人たちと性格が合うか』を基準に入社する企業を決めたいと思っています。」
2月中旬に開始されて以降、ファッション通販のクルーズと名古屋のオンライン経済新聞「Nagoya Startup News」がいずれも4000円のスカイプ面接プランで支援。6月中に面接を予定しているという。また他にも1社が6000円の面接プランに応募しており、計14000円が集まった。この資金は、就活に必要な費用に充てられる予定だ。