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WEC:エアロキットの開発制限に懸念の声。「序盤戦が台無しになる可能性も」

2017年04月06日 11:51  AUTOSPORT web

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公式テスト“プロローグ”ではポルシェとトヨタの2メーカーともロードラッグ仕様で臨んだ
WEC世界耐久選手権の2016年LMP1王者ニール・ジャニは、マニュファクチャラー2社が異なるエアロキットを使用した場合、シーズン序盤戦が台無しになるのではないかという懸念を抱いている。

 2017年のWECでは、コスト削減を目的に従来3種類だったエアロキットをローダウンフォースとハイダウンフォースの2種類に削減。トヨタとポルシェは、各大会ごとにどちらのキットを使用するか選択できる。
 
 どちらのキットを使用する場合も、初投入前にホモロゲーションが行われ、以降シーズン中に改良を加えることはできない。

 トヨタは開幕戦シルバーストンにハイダウンフォース仕様エアロキットを投入することを明らかにしており、仮にそのパフォーマンスが充分なものでなかった場合も、シーズン後半に開発を行えないことになる。

 一方のポルシェは、開幕戦に投入するエアロキットについて発表しておらず、先週末イタリア・モンツァで行われた公式テストにおいてもチーム代表のアンドレアス・ザイドルは戦略についてノーコメントを貫いた。

 ジャニは今シーズン、アンドレ・ロッテラー、ニック・タンディとともに1号車ポルシェ919ハイブリッドをドライブするが、もしポルシェが開幕戦にローダウンフォース仕様を投入した場合、2台のトヨタを上回ることができず、優勝争いに絡めないのではと懸念している。

「昨年はシーズンの序盤、中盤、後半で異なるエアロキットを投入できた」とジャニ。

「今シーズンは2種類に制限されて、どういった戦略を取るかが難しい」

「ル・マン24時間で使うローダウンフォース仕様の開発をギリギリまで行うか、ほかのレースで使用機会の多いハイダウンフォース仕様の開発を優先するかだ」

「シルバーストンには(ポルシェとトヨタから)正反対の仕様のマシンが登場する可能性もある。そうなれば本当のバトルが起こることはないだろう」

「トヨタのハイダウンフォース仕様に対して、我々がローダウンフォース仕様を投入した場合、戦いを挑むのは困難だからね」

「我々は3位か4位で終わってしまうだろう。そうはなってほしくない。そうなったら残念でならない。チャンピオンシップにとって良い状況ではないと思う」

 なお、トヨタは第2戦スパ・フランコルシャンから3台体制を構築。2台をハイダウンフォース仕様で、1台をローダウンフォース仕様で走らせる計画を立てている。

 しかし、ポルシェはシーズンを通して2台体制を貫くため、ジャニはポルシェがトヨタの戦略を真似ることは不可能だとコメント。

 そのため、ジャニはポルシェが2台ともル・マン(ローダウンフォース)仕様でスパに臨むと予測している。

「今までのケースを見ると、ポルシェはつねに2台を同じ構成で走らせている」

「スパはル・マンのひとつ前のレースだから、ローダウンフォース仕様のキットを使うことは確実だろうし、それが過去数年に渡ってポルシェが取ってきた戦略だ」

「確実なことはまだ言えないが、そうなるだろうと推測している」

「ほかの戦略を取るのは無意味だ。この戦略を変えるべき理由が僕には見当たらないよ」