2017年04月06日 09:33 弁護士ドットコム
「ハローワーク」の求人が実際には大きく異なっていたという漫画がツイッターに投稿された。
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漫画によると、求人票に「残業代支給」とあったにも関わらず、面接で「社員には毎日終電まで頑張ってもらってるよ。10時間までは残業代も出すけどそれ以上は自分の責任なんだから出さない!」と言われたそうだ。
この投稿に対してツイッターでは、「平気でサービス残業と言う単語をはっきり口にしたり、提示されていた条件は違う、嘘だったと悪びれもせずぬかすやつがいましたね」などの反応があった。
求人情報をめぐるトラブルにはどのようなものがあるのか。また、ハローワークの求人情報が実際と違ったらどう対応すべきか。土井浩之弁護士に聞いた。
「まず、時間外労働をした労働者に対して、使用者は時間外割増賃金を支払わなければならないと労働基準法で決められています。支払わない時には、使用者に罰則が科されます。事例にあるような『10時間までは残業代も出すけどそれ以上は自分の責任なんだから出さない』という会社のやり方は、労働基準法に反しています。
職場の労働条件が労働基準法の基準に達していない場合には、法律の基準に引き直して請求することができます。最寄りの労働基準監督署に相談すると良いでしょう」
土井弁護士はこのように述べる。
「では、法律には反しないけれども、求人票の記載と実際の労働条件が異なる場合は、どう対処すべきか、考えてみましょう。
差異が見られる労働条件で多いのは、賃金と労働時間(拘束時間)のようです。職種や休日、社会保険などに食い違いが見られたケースもあります。
ハローワークの求人票と実際の労働条件が違っていたという場合は、厚生労働省が設置した『ハローワーク求人ホットライン(03-6858-8609)』に電話相談することができます。該当企業について事実関係を調査の上、必要があれば指導が入ることになります」
入社する前にできる対策はあるのか。
「事前にできることとしては、実際に働き始める前に雇い入れ通知書や雇用契約書等労働条件を明示した書面を受け取ることが定められていますので、それらの書類と求人票の記載内容を比べて確認しましょう。
また、求人票の賃金欄に、基本給の金額が記載されているのか、残業代を含んだ見込み額が記載されているのか注意深く読み込むことと、わかりにくいときはその企業に確認することが必要です。実際にその企業で働いている人から、話を聞いておくことも有効です。
おかしいなと思ったら、日本労働弁護団の雇用ホットライン(無料)などに相談することもお勧めいたします」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
土井 浩之(どい・ひろゆき)弁護士
過労死弁護団に所属し、過労死等労災事件に注力。現在は、さらに自死問題や、離婚に伴う子どもの権利の問題にも、裁判所の内外で取り組む。東北学院大学法科大学院非常勤講師(労働法特論ほか)。
事務所名:土井法律事務所