2017年、WEC世界耐久選手権のLM-GTEプロクラスに導入される“オートマチック”BoP(性能調整)の概要が発表された。
新システムでは、マシンごとに異なるスペックの均一化を強化すると同時に、BoPの透明化を兼ねて、人為的要素を排除する形が採用されている。
具体的にはFIAとACOフランス西部自動車クラブ、参戦マニュファクチャラーが作成した独自アルゴリズムが用いられ、この計算式がはじき出したBoPが毎戦ごとに適応される。
昨シーズン、WECは新型GTEマシンが登場したことでBoPの調整に苦戦。毎戦ごとに、その数値に変更を加えたものの、各マニュファクチャラー間の差が詰まることはなかった。
FIAが4月5日に公表した資料では、このアルゴリズムでは各大会において各マニュファクチャラー内でファステストラップを記録したマシンのラップデータを採用すること、そのラップデータのうち60パーセントを使用すること、ストレートスピードも計算の対象になることなどが記載されている。
ファステストラップを記録したマシンが充分なレース距離を走っていない場合や、天候の影響でタイムが著しく遅い場合などは、アルゴリズムの対象外となるという。
なお、FIAとACOが透明性を維持することを強調しているにも関わらず、アルゴリズムの詳細な数式などは明かされていない。
また、WECシリーズ戦のうち、通常の2倍ポイントを獲得できる天王山、ル・マン24時間耐久レースについては、今回の新システムは適応されず、独自のBoPが採用される。これはサルト・サーキットがほかのサーキットとはコンディションが異なるためだ。
FIAは、過去2シーズンの走行データを基に新システムのテストを実施済み。シミュレーションでは「満足いく」結果が得られているという。
“オートマチック”BoP導入には実際の走行データが必要となることから、今季開幕2戦のシルバーストン、スパ・フランコルシャンでは採用されず。上述の通り、ル・マンでは不採用のため、7月の第4戦ニュルブルクリンクから施行されることになる。
LM-GTEアマクラスに関しては新システムは採用されず、2016年シーズンにLM-GTEプロクラスで採用されていたBoPが適応される。