日本アムウェイは4月5日、「若者の起業家精神調査レポート」(PDF)の結果を発表した。調査は、2016年10月6日~11月5日、日本・アメリカ・インド・フィンランドの18~29歳の男女を対象に実施した。
4割が「自分の将来に良いことはないので考えてもつまらない」と回答
それによると、日本の若者は他3か国と比べてネガティブな考えを持っている人が非常に多いようだ。特に、
「将来、自分がどうなるか不安になる」(81%)
「自分の将来に良いことはないので考えてもつまらない」(38.8%)
と回答している人が、他国を大きく上回っている。他にも、起業するにあたって必要となる「将来偉くなりたい」(48%)、「自分の将来が楽しみである」(49.3%)、「自分に自信がある」(33.7%)、「自分にどのような能力・適性があるか知っている」(51%)も他国より低い結果となっている。
また「将来の希望職種」についても、日本の若者は
1位「国家公務員、地方公務員」
2位「その他」
3位「会社・企業の事務職」
と手堅い職業に就きたい人が多いということが分かった。これは「フリーター」になりたいと答えた人が3か国中最下位(1.8%)という点からも見て取れる。
実際「その他」の職業に「薬剤師」「看護師」という安定した職を挙げる人がいる。その一方で「漫画家」「ライター」などのクリエイティブ職に就きたいと思っている人もいるようだ。
また「自分で起業したい」と考えている人の割合はインド、フィンランドが22%で同率1位、次いでアメリカが19%。しかし日本は7.3%と大きく離されての最低スコアとなった。
そして日本人の若者の9.8%は「働きたくない」と答えている。これはフィンランド(3%)、インド(1%)、アメリカを大きく上回る結果となった。日本人は「会社員になりたい」もしくは「働きたくない」と思っている人が多いと推測できる。
「日本はチャレンジするためのスキルを学ぶ環境が整っていない」
この結果について、早稲田大学ビジネススクールの東出浩教教授は、
「(日本の)若者が『自分の得意なことは何か』『何にチャレンジすれば自分が納得できるのか』をイメージすることができない」
とコメント。また日本は「チャレンジするためのスキルを必要なときに学ぶ環境が整っていない」といい、そうしたことがリスクをあまり取りたがらない傾向に繋がっていると指摘した。
起業へのモチベーションを最も高める要因は、多くのチャンスを身近に「目にする」ことだという。日本でも今後、大企業でルーチーンワークにつくことのリスクに気付き、起業していくと予想されるとし、
「そのような若者たちが起業し、組織を作り、それを成長させていく。結果として、そこに巻き込まれた人たちの起業家精神が高まり社会に活力をもたらす、というサイクルが重要です」
と述べた。また、長期的に起業を目指す若者を増やしていくためには、親世代がリスクを取りながらもチャレンジしている姿を見せ、子供たちが追っていける環境を作ることが重要だとしている。