4月6~9日に行われるWRC世界ラリー選手権第4戦ツール・ド・コルスに向け、参戦するドライバーたちが意気込みを語った。
2017年シーズン初のフルターマック(舗装路)イベントとして行われるツール・ド・コルス(ラリー・フランス)は、フランス・コルシカ島全域を使って行われる伝統的1戦だ。
6日はシェイクダウンのみが行われ、7日から競技がスタート。初日は4SSのみで争われるが、サービスタイムが設けられないためマシン整備を行うことができない。チームは1度のタイヤ交換のみで初日を走りきる必要がある。
8日も4SSの構成だが、1SSあたりの距離が長く、トータル距離は131.92kmにも及ぶ。最終日の9日に行われるのは2SSで、オープニングのSS9は大会最長の53.78kmで争われるロングステージだ。
最上位クラスはMスポーツ、ヒュンダイ、シトロエンの3チームが3台体制で参戦。トヨタは引き続き、2台体制で参戦する。
なお、シトロエンは、今季開幕3戦では2017年型WRカーを2台、旧型WRカーを1台投入していたが、このツール・ド・コルスからは3台の2017年型WRカーを投入する。
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■Mスポーツ
●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)
「ふたたびターマック(舗装路)イベントに戻ることになる。(おなじターマック戦の)第1戦モンテカルロでは、マシンフィーリングは良かったけど、ツール・ド・コルスとは路面コンディションがまったく異なるから、別のアプローチが必要だ」
「事前テストでツール・ド・コルス独特のコンディションに対応できるベストセッティングを見つけることができた。ダンパーやセンターデフ周りでさまざまなセッティングを試したんだ。これで、いい結果を引き寄せることができると思う」
「今年は、例年以上に僅差の争いが続いているけど、第4戦でも状況は変わらないだろう。ベストを尽くして戦い、表彰台の頂点に上がることができれば最高だね」
●オット・タナク(フォード・フィエスタWRC)
「週末のツール・ド・コルスは、今年これまでで最大の挑戦になる。ただ、そこへ向けた準備は整えてきたから、挑戦するのが待ち遠しい」
「これまで、うまく戦えたことのないイベントだけど、(コンディションが似ている第1戦)モンテカルロでも同じ思いだった。それでもモンテカルロでは、好成績を残せたんだ」
「モチベーションを保ちながら集中して臨めば、不可能なことはない。堅実な結果を手繰り寄せられるはずだよ」
「つねにベストな結果を出すことを目標にしている。モンテカルロでフィエスタには、良いフィーリングを得られたし、その後のテストでも感覚を維持できている。先日には(ツール・ド・コルスに向け)500キロ近く走り込んでいるしね」
「もちろん、ツール・ド・コルスがどれだけ難しいイベントかも承知している。SSの道幅は狭く、曲がりくねっていて、いつなにが起こっても不思議ではない。小さなミスひとつも許されないから、スタートから集中していく」
●エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)
「ツール・ド・コルスはドライバーの技術が試されるけど、そこが好きなポイント。過去に良い結果を残しているし、今年のマシンでどこまで行けるか試すのが楽しみだ」
「ステージはバラエティに富んでいて、とてもユニークな1戦だ。スムーズな路面を走ったかと思えば、コルシカ島独特の“研磨材”のように荒れた路面を走ることもある」
「コンディションにどれだけ対応できるかも重要だけど、今年は天候も読めないから、1ステージ中にウエット路面とドライ路面が入り交じる可能性もある。ベストなセッティングを見つけ出さねば」
「ドライのターマックではペースも良かったから、自信を持っている。先週の事前テストではいくつか異なるセットアップを試していて、その感触も上々だった」
「結果をまったく予想できない戦いだけど、悲観的になる理由は見当たらない。どんな結果になるか楽しみだよ」
■ヒュンダイ/ヒュンダイ・モータースポーツ
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ツール・ド・コルスは著名で歴史ある1戦だ。僕たちにとってはIRCインターコンチネンタル・ラリー選手権時代の2011年に、勝利を収めたイベントでもある」
「去年は総合2位を獲得するなど、良い結果を出せた。好みのステージも多いから、コルシカ島に戻るのが楽しみなんだ」
「今年、開幕2戦はフラストレーションが溜まる結果だったから、第3戦メキシコの結果(総合3位)は重要なものだった。2戦続けて表彰台を獲得する場所としても、コルシカ島は理想的な場所だよ」
●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ツール・ド・コルスを、僕にとっての2017年シーズン開幕戦にしたい。初めてWRCターマックイベントに向けて、できる限りの準備を整えてきたから、自信を持っている」
「(イタリア国内ラリーの)ラリー・サンレモにスポット参戦したことで、ターマック路面独特のドライビング法やペースノートの作り方を学ぶことができた」
「個人的にツール・ド・コルスは、今シーズンのWRCでもっともタフなターマックラリーだと思っているけれど、スタートが待ち遠しい。良いパフォーマンスを発揮する準備は整っているからね」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ツール・ド・コルスは、今年初めて戦うターマックラリーだ。僕たちの新型マシンがターマックで、どれだけ戦えるか証明したくて、たまらないよ」
「ステージは山道や森の中を駆け抜ける構成で、シリーズで1番豪華な設定だと思う。そんなイベントの一員に慣れることを誇りに思っているんだ」
「今年、僕たちは安定したパフォーマンスを発揮しているけれど、もう1段ステップアップして、トップ争いに加わるべきタイミングだと思っているよ」
■シトロエン/シトロエン・レーシング
●クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)
「第3戦メキシコで優勝したけれど、第4戦ツール・ド・コルスでは新たな困難に直面する。僕にとっては、もっともチャレンジングなターマック(舗装路)イベントなんだ」
「去年、スポット参戦した時はSSを楽しみながら走ることができたし、細かなミスがなければ優勝争いにも絡めていたと思う」
「自信を持ってコルシカ島に乗り込むとは言えないけれど、事前テストで行ったことには満足している。マシンは調子が良いし、ハンドリングも安定していた」
「超接近戦の優勝争いになるだろうから、ラリーのスタートが楽しみだよ」
●クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)
「長年、ツール・ド・コルスに挑戦して、コースは熟知しているし、このイベントが好きなんだ。ただ、チーム内で、もっともツール・ド・コルスでの経験が豊富なのは自分だと知った時は驚いたよ」
「予測できない天候や均一ではない路面など、コルシカ島のコンディションは(故郷の)アイルランドと似ている点が多いんだ」
「去年、自身初めてのWRCターマックイベントとしてツール・ド・コルスに出場したけど、良い感触を得られた。今年はどれだけ自信を持って新型WRカーを操れるかが、ポイントになると思う」
「マシンとステージ、両方に自信を持って臨むことができれば、結果はついてくるはずだ」
●ステファン・ルフェーブル(シトロエンC3 WRC)
「ラリー・モンテカルロやラリー・フィンランドと同様、このツール・ド・コルスもWRCには欠かせない1戦だ。2015年に初めて参戦した時は、土砂降りの雨でまったく良い思い出はないけどね!」
「僕はまだ新人で、経験も不足しているから難しい戦いになるだろう。それでも好成績を目指して、100パーセントの力で挑む」
「事前テストがターマックでの経験不足を補ってくれるはず。C3 WRCのハンドリングは、まるでレーシングカーのようだったよ」
■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing WRT
●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「僕にとってツール・ド・コルスは特別なイベント。1986年のヘンリ・トイボネンの事故も含め、フィンランド人ドライバーにとって、なかなか結果が出せない難しいラリーだったから、(2015年に)自分がこのラリーで勝てたことは非常に大きな意味があった。しかし、今は状況は変わっているし、ラリーはより安全になっている」
「2日間で380kmを走行したテストは非常にうまくいった。初日は道幅が狭く凹凸の激しい道、2日目は高速で平らな道と、本番で想定される両方の条件でテストした。ダンパーのセッティングをいくつかトライしながら、両方の条件に合う良いセッティングに到達したよ」
「(第1戦)モンテカルロを走って、ヤリスWRCのターマックでのポテンシャルはある程度分かっていたけれど、今はモンテカルロの時よりも、さらに良いフィーリングになっている」
「ただ、これまでの3戦で分かったように、ライバルたちもとても強いので簡単にはいかない。ここまで着実に行ってきたように、過度に結果へとらわれず、ラリーごとにクルマを改善していくという目的に向かって集中を続ける」
●ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)
「体調を崩していた前回よりずっと調子がよく、ターマックに戻る今回のラリーがとても楽しみだ。昨年、ここでレッキ(事前走行)はしたが、ツール・ド・コルスには1度しか出たことがなく、それもかなり前のこと」
「そのため、クルマのセッティングに関しては、ヤリ-マティ(・ラトバラ)のアドバイスに頼り、その結果、とてもうまくいっているんだ。モンテカルロと極めて近いフィーリングだけど、モンテカルロの時と主な違いはタイヤだね」
「このタイヤで、特に長いステージでベストな結果を出せるようにテストでしっかり学習した。メキシコで、粘り強く戦えば、悪条件のなかでも良い結果が出せることが分かった。そしてそれは、『もっといいクルマを作り続ける』というトヨタの考えにも通じるところがあると思っている」