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朝ドラ『ひよっこ』と昼ドラ『やすらぎの郷』、初回視聴率で明暗 今後のカギを握るのは?

2017年04月04日 16:12  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド映画部

 4月に入り新年度を迎え、テレビドラマも2017年4月クールの番組がスタートする。民放各局の連続ドラマが4月2週目~3週目から始まるものが多いなか、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』と、テレビ朝日が新設した「帯ドラマ劇場」の第1弾『やすらぎの郷』の放送が、4月3日から開始された。


参考:有村架純、ご飯大好き田舎少女姿にほっこり 朝ドラ『ひよっこ』第1話を終えて


 ともに半年間にわたる帯ドラマということで、放送前から視聴者からの期待も高かった2作品。初回の平均視聴率は、『ひよっこ』が19.5%、『やすらぎの郷』が8.7%(ともにビデオリサーチ調べ、関東地区)という数字を記録した。


 『ひよっこ』の初回平均視聴率19.5%という数字は、『べっぴんさん』の21.6%、『とと姉ちゃん』の22.6%など、直近の過去の朝ドラと比べるとやや物足りない印象。初回平均視聴率が20.0%の大台を割ったのは、2012年上半期に放送された夏菜主演の『純と愛』以来9作ぶりだった。


 終盤の展開などでは脚本面で批判の声も見られた『べっぴんさん』からバトンを受けてスタートした『ひよっこ』の第1話では、東京オリンピックが目前に迫った1964年の秋、茨城県の北西部・奥茨城村で暮らす高校三年生の谷田部みね子を中心とした谷田部家と、みね子と彼女の幼なじみたちのに日常が描かれた。


 数字面でも内容面でも1話だけで評価するのはフェアではないが、過去に『ちゅらさん』と『おひさま』を手がけ、今作が3作目の朝ドラ脚本となる岡田惠和による脚本がどう転ぶか、そして第2話の終盤に登場し大きなインパクトを与えた銀杏BOYZの峯田和伸をはじめ、今後登場するキャストたちがどのように物語に絡んでいくかが、今後の評価に繋がる大きなポイントになるだろう。


 一方、『やすらぎの郷』が記録した初回平均視聴率8.7%は、『バイキング』(フジテレビ)や『ヒルナンデス』(日本テレビ)、『ひるおび!』(TBS)といった裏の情報番組の視聴率を超える好成績。TBSや東海テレビが終了させた昼ドラを、“大人の、大人による、大人のための帯ドラマ”として、シニア層にターゲットを絞ったテレビ朝日の“シルバータイムドラマ”の戦略がうまくいった形だと言えるだろう。


 同ドラマは、石坂浩二をはじめ浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、草刈民代、五月みどり、常盤貴子、名高達男、野際陽子、藤竜也、風吹ジュン、松岡茉優、ミッキー・カーチス、八千草薫、山本圭という豪華キャストが出演するのはもちろんだが、やはり『北の国から』(フジテレビ)の倉本聰によるオリジナル脚本という点が注目だ。


 舞台は、全盛期の映画、テレビ界を支えた俳優、作家、ミュージシャン、アーティストたちが集う、テレビ人専用の老人ホーム『やすらぎの郷 La Strada(ラ・ストラーダ。イタリア語で『道』の意味)』。そこで繰り広げられるノスタルジー漂う人間喜劇が物語の中心となる。


 本日4月4日に放送された第2話では、石坂演じるシナリオライターの菊村栄と、テレビの黄金期をともに築いた“戦友”のディレクター・中山保久(近藤正臣)による会話の中で、「いったいテレビってのは、どこへいっちまうのかね」といった、まるでテレビの現状についての倉本の意見が投影されたようなセリフも飛び出した。昼の帯ドラマということで、昼間働いている社会人にとってはリアルタイム視聴は至難の業だが、“ほとんどテレビ離れを起こしている若い者”こそ観るべきドラマだといえるかもしれない。


 初回の視聴率では明暗が分かれた『ひよっこ』と『やすらぎの郷』だが、まだまだ半年間に及ぶ長き道のりが始まったばかり。これからも話題が尽きることはないだろう。(宮川翔)