新年度がスタートした。巷では若々しい新入社員が、緊張の日々を送っていることだろう。この時期になると、メディアはしばしば新社会人をテーマに取り上げる。
新社会人を応援するような記事や、新社会人が読むことで役に立つコラムなどなど。そして、中には彼らのちょっと非常識な言動を取り上げてバッシングする記事なんてのもよくある。
「ありえない!新入社員がやらかした非常識行動ワースト3!」
みたいなやつだ。4月~5月はテレビや雑誌で本当によく見かける。(文:松本ミゾレ)
新入社員にマウンティングして満足するのは悲しい
特にここ最近は、新入社員がいわゆる「ゆとり世代」に当たるので、例年以上にバッシングがひどい気もする。新入社員とゆとりを同時に叩けるので、叩く側としては一石二鳥ではある。
ああいうのは明確に、新入社員を下に見て悦に浸りたい人に対しての訴求力があるので、ある程度支持されるもの。人って自分よりちょっとでも立場が下の人間に対しては、マウントを取りたがるものだし、僕もその気持ちもわからないでもない。
だけど、誰もがみんな、最初はぺーぺーの新社会人だった。右も左もわからない中、必死に社会の荒波に適応しようとした時期があったはずだ。だからあまり若い人たちを物笑いの種にするのは、僕はメディアとしては適切ではないと思っている。
社会に出たばかりの若者なんて、そもそも無作法なもの。それもそうなのだ。学校では面接での基本的な受け答えは指導することはあっても、社会に出てからの所作なんかは教えられない。
社会人経験のないライターが新入社員を叩いている、というケースも
だから新入社員が少々問題のある言動をして、それを殊更バカにするのは、ちょっとなぁ……と感じてしまう。しかも、〝新社会人dis記事"を書いている人ってのも、過去には同じ立場の新社会人だったはず。
というか、時にはろくに社会人経験もないような食い詰め者のライターが、この手の新入社員中傷記事を書いているケースなんてのもある。僕もそういう人間を1人知っている。そんな人間の書く中傷記事に、いい大人が賛同して一緒に新入社員を叩くなんて、結構ダサい。
「子供叱るな来た道だもの 年寄り笑うな行く道だもの」という言葉がある。新社会人も、社会においては子供みたいなもの。叱ってもしょうがないし、笑いものにしても虚しい。
こういうことばかりしていると、いずれ自分が部下たちに、陰で老害呼ばわりされるかもしれない。僕は歳をとってから「老害」とは呼ばれたくないので、見下すよりも、見守る大人でありたい。
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