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フォーミュラE第4戦:2度のギャンブルに成功したディ・グラッシが今季初優勝

2017年04月03日 13:51  AUTOSPORT web

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2016/17フォーミュラE第4戦メキシコシティePrix 優勝したルーカス・ディ・グラッシ(アプト・シェフラー・アウディ・スポート)
2016/17年シーズンのフォーミュラEは4月1日、第4戦メキシコシティePrixが行われ、ルーカス・ディ・グラッシ(アプト・シェフラー・アウディ・スポート)が今季初優勝を飾った。

 予選で18番手タイムと苦戦を強いられたディ・グラッシは、決勝でもオープニングラップでマーロ・エンゲル(ベンチュリ)に追突され、リヤウイングを大破する不運に襲われる。

 その後も序盤から各所でマシンが接触し、コース上にはパーツ片が散乱したため、レースは早くもセーフティカーが出動する。

 ディ・グラッシはセーフティカーラン中の3周目にピットインして、大破したリヤウイングを新品に交換。ポジションは落としたものの、トップと同一周回でコースに戻り、ダメージを最小限に抑えた。

 13周目、ポールポジションスタートでトップを走っていたオリバー・ターベイ(NEXTEV NIO)がホームストレートで突如スローダウンしリタイア。これでホセ・マリア・ロペス(DSヴァージン)がトップに浮上したが、ターベイの車両回収のために、レース2度目のセーフティカーが導入される。

 そしてセーフティカー中の18周目、ライバルがステイアウトするなか、ディ・グラッシとジェローム・ダンブロジオ(ファラデー・フューチャー・ドラゴン・レーシング)がピットイン。2台目のマシンに乗り換え、残り28周を走りきるギャンブルを仕掛ける。

 ディ・グラッシとダンブロジオは、トップと同一周回で隊列に復帰。その翌周にレースが再開された。

 レース折り返しとなる24周目ごろから、各車が続々とピットイン。ここでディ・グラッシがトップ、ダンブロジオが2番手までポジションを上げる。ここからはバッテリー残量を気にかけながら走行するトップ2台と、電力に余裕があるライバルたちとのバトルが繰り広げられた。

 なかでも、ディ・グラッシは電力をマネジメントしながらリードを広げる一方で、ダンブロジオは3番手以下からの激しいプレッシャーを受けることに。

■ギャンブル成功のディ・グラッシ「キャリアでベストなレース」

 終盤までポジションをキープしたダンブロジオだが、レース残り2周となった43周目、1コーナーのブレーキングでミス。この隙を見逃さなかった3番手ジャン・エリック・ベルニュ(テチーター)が2コーナーの飛び込みでインを突くと、オーバーテイクに成功する。

 その後、ベルニュはペースを上げてトップを猛追するが、それまでに充分なマージンを築いていたディ・グラッシには届かず。序盤のリヤウイング交換、そして早めのピットインというギャンブルに成功したディ・グラッシが、今季初の勝利を手にした。

「レース中、こんなに浮き沈みが激しくなるとは思わなかった。これがフォーミュラEの醍醐味だけどね」とディ・グラッシ。

「(レース序盤)誰かが僕に追突してきて、リヤウイングは破損してしまった。その後は、可能な限り使用するエネルギーを抑えながら、ギャップを広げることに集中した」

「最終コーナーを立ち上がるまで、自分のレースに集中していたから、チェッカーを受けたときは大騒ぎだったよ」

「レースの展開も、パワーマネジメントの面でも、僕のキャリアでベストなレースになったことは間違いない。最高の気分だ」

 2位にはベルニュ、3位にはサム・バード(DSヴァージン)が続いた。ベルニュに交わされ3番手に後退したダンブロジオはバッテリー残量が厳しかったことから、さらにペースダウン。最終的に14位までポジションを落としている。

 今シーズン、開幕から3連勝していた2016年チャンピオンのセバスチャン・ブエミ(DSヴァージン)は、予選10番手からスタートしたものの、決勝レース終盤にコースオフするなど、苦戦。ポイント圏外の13位でフィニッシュしている。

 ただし、ブエミはレース中のファステストラップを記録しており、ボーナスポイント1点を獲得している。

 フォーミュラE第5戦モナコePrixは、5月13日に予選、決勝レースが行われる。