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RADWIMPS・野田洋次郎、俳優としての可能性は? 『100万円の女たち』小説家役との相性を読む

2017年04月03日 06:03  リアルサウンド

リアルサウンド

野田洋次郎

 毎回、斬新かつ柔軟なアプローチで話題を集めるテレビ東京の深夜ドラマ。4月期に米大手動画配信サービスNetflixとタッグを組んで送るのは、ロックバンドRADWIMPSの野田洋次郎がドラマ初主演を務める連続ドラマ『100万円の女たち』だ。原作は青野春秋(『俺はまだ本気出してないだけ』ほか)の同名コミック。野田洋次郎の俳優としての顔に期待がかかる。


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 普段はさほど音楽を聞かない人でも、野田がボーカル、ギター、作詞・作曲を務めるRADWIMPSが、大ヒット映画『君の名は。』の音楽を担当したことは聞きかじっているだろう。その楽曲は、伴奏的な音楽というより、曲そのものが主張しながら作品と共鳴し合っていた。独自の世界観を音楽にぶつけ、ミュージシャンとしての才能を認められてきた野田。しかし俳優業となると、また話は別である。


 だが野田は、実はその演技をすでに披露している。2015年に公開された映画『トイレのピエタ』において、俳優デビューにして主演を飾り、日本アカデミー賞新人俳優賞ほかを受賞。余命3ヶ月と告げられた元美大生の青年・園田宏が抱える虚無感や迷い、生きることの意味といった難しいテーマを、決して力むことなく自然体で表現した。そして、杉咲花(2年前とはいえ、すでに高い演技力を見せている)、リリー・フランキーといった抜きんでた存在感を放つ共演者とのガチンコ演技でも、特別ではないイチ青年でありつつ、主人公として輝くべきオーラを、もともと兼ね備えたカリスマ性によってしっかりと発揮し、作品をけん引してみせた。


 初演技で難柄を演じきったことには、もともとのセンスもあるだろう。しかし演じた青年が元美大生という芸術分野のモノづくりにかかわるキャラクターだったことも大きいように思う。野田の世界と虚無感は異なるかもしれないが、葛藤を抱えながら芸術的な何かを生み出していくことは通じている。


 そして『100万円の女たち』。主人公の道間慎は、美女5人と同居している売れない小説家である。原作を読む限り、こちらも芸術家(小説家)であり、虚無感を抱えたキャラクター。作品の持つ謎めいた世界観も野田の持つカリスマ性によくマッチしている。


 共演陣も魅力的だ。慎に影響を与えてきた、父親で死刑囚の道間達之役にリリー・フランキー。『トイレのピエタ』とは全く違った関係性を見せてくれるはずだ。慎が大嫌いだと言い放つ人気作家の花木ゆず役には着実にファンを増やし続けている中村倫也、慎を支える編集者・桜井誠二役に山中崇、慎を嫌う評論家・森口竜市役に池田鉄洋と、個性と実力を兼ね備えたキャスティングが嬉しい。


 慎に毎月100万円を支払い同居している謎の美女5人には、福島リラ(『ウルヴァリン:SAMURAI』)、松井玲奈(『笑う招き猫』)、我妻三輪子(『ヒロイン失格』)、武田玲奈、新木優子とタイプの違う女優達が顔を揃える。個性的な役者陣と美女たちとの化学反応が、役者・野田洋次郎のどんな面を引き出すか。目が離せない。(望月ふみ)