マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は2017年F1第1戦オーストラリアGPを、ふたつの視点でジャッジ。
--------------------------
テスト期間中から、ホンダを取り巻く状況に関して、さまざまなウワサが流れている。その真偽はいずれ明らかになるだろうが、オーストラリアGPではそのような政治的な話ではなく、技術的な部分において、ひとつ明らかなったことがある。それは、ウインターテストで出たパワーユニット側のトラブルが、メルボルンでは再発しなかったということだ。
テストで起きたパワーユニットのトラブルは、全部で3回。そのうち2つは些細なもので、1回目のテスト初日のオイルタンク内のバッフルプレートのレイアウトで、2回目のテスト初日は高電圧系に絶縁不良が起きた。これらの問題はどちらもその後、テストでは再発していない。
ホンダにとって気がかりだったのは、1回目のテスト2日目に起きた燃焼室の問題だった。この問題に関してはテスト期間中から、栃木県さくら市にある研究所『HRD Sakura』でさまざまな解析が行われた。そして、メルボルンに運び込まれたスペック1は、その問題に対処したものとなっていた。
「テストで起きたいろいろな問題に対しては、(原因の)完全に明確に把握しているわけではないですが、すべて対策は取ってきました」と長谷川祐介ホンダF1総責任者は語る。
今年からトークンフリーになったが、年間4基という制限があるため、開幕戦のフリー走行で走らせたパワーユニットはすぐさまFIAに封印され、1基目としてカウントされる。したがって、信頼性に何か問題があれば、深刻な問題となるところだった。
だが、ホンダのパワーユニットはオーストラリアGPで深刻な問題には直面しなかった。唯一の問題はレースでストフェル・バンドーンの回生エネルギーがスタート直後から使用できない状況に陥ったことだった。これも1回目のピットストップで電源をリセットしたことで治っていることから、大きな問題ではなかったと考えられる。
もちろん、パワーが足りないという問題は依然、抱えたままだ。ただし、すべての課題が一朝一夕に解決できるものではない。開幕戦でもっとも大切なことは、まず信頼性を確立して、完走すること。そのことは、長谷川総責任者も「開幕戦の目標は、まずはきちんとフィニッシュして、ポイントを取ること」と語っていた。
残念ながら、その目標は10番手を走行していたフェルナンド・アロンソにサスペンションのトラブルが発生したためにかなわなかったが、ホンダとしてはやれることはやった開幕戦だった。
恐らく、この後4戦目まではストレートが長いコースが続くので、パワー面でホンダは厳しい戦いが強いられるだろう。しかし、開幕戦では信頼性に苦しむチームが少なくなかった。長谷川総責任者が語ったように、きちんとフィニッシュすれば、チャンスはある。
F1速報WEBでは辛口編も掲載中
2015年のデジャブに不信感が募る。伝説のパートナーシップは危機を乗り越えられるのか