WEC世界耐久選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racingは、少なくとも2019年末までは同シリーズに留まり続けるようだ。
トヨタは昨年11月、WECのレギュレーションが2019年末まで凍結されたことを受け、同年までLMP1クラスに参戦し続けると決定したという。
TOYOTA GAZOO Racingのチーム・ディレクターを務めるロブ・ルーペンは、ハイブリッド・システムなどに大きな規則変更が行われる予定だった新レギュレーション導入の先送りが、参戦継続を決定する大きな要因だったと説明する。
「少なくとも2019年末までは参戦を続ける。大きく宣伝はしていないが、すでに決定された事案だ」とルーペン。
「参戦コストの面で、新規則導入の先送りが助けになったことは間違いない。しかし、1番重要なのは市販車との関連性だ」
「我々はWECを技術のショーケースにしたいと望んでいる。ハイブリッド技術の研究を続けられることが、重要だったんだ」
ライバルチームのポルシェは、当初2016年までとしていた参戦プランを延長。少なくとも2018年までは参戦すると表明している。
■トヨタとポルシェが紳士協定。現行モノコックを2019年まで使用
また、ポルシェとトヨタは、新規則導入凍結に加え、さらなるコスト削減のため、今後2年間は新たなモノコックを製作しないという紳士協定を結んだという。
「トヨタやFIA、ACOフランス西部自動車クラブと2020年レギュレーションについて協議している」とポルシェのチームプリンシパル、アンドレアス・ザイドルは語る。
「そのなかで2019年末までは同じモノコックを使い続けようという紳士協定を結んだ。つまり、我々は今シーズンに使用するモノコックを2018~19年でも使い続けることになる」
「我々もトヨタも、互いが持つモノコックの重量や空力開発の自由度などに、大きな違いはないと判断した」
「だから、今回の協定を結ぶことができたんだ。現行レギュレーション下でも、まだまだ開発の余地は残されている。これが競争や開発の妨げになることはないと思っている」
「とても理にかなった協定だと思うよ」
なお、ルーピンは2020年以降もトヨタがWECに参戦し続けるためには、新規則が市販車へ転化できる技術を盛り込んでいることが重要だと強調した。
「2020年導入の新レギュレーションが、まったく違う形となり、我々は(参戦する)興味を失うだろう。しかし、現行レギュレーションの延長線にあるような形になれば、興味をそそられることは間違いない」
新レギュレーション策定に携わるFIAとACOは、ポルシェ、トヨタに続く新たなマニュファクチャラーを呼び込むべく、コスト削減に重点を置いているとみられる。