4月1日は、嘘をついてもいいとされている「エイプリルフール」。各企業がどのような嘘をつくのか楽しみにしている人もいるだろう。しかし、今年は4月1日が土曜日。そのためか前倒しで3月31日に嘘を発表する企業・団体が相次いでいる。
「富士山1万メートル化」「赤ちゃん返りVR」「マッスルタクシー」
山梨県富士吉田市は「富士山を1万メートルに増築するためのクラウドファンディングを開始する」と発表した。
「長い間、富士山のふもとで共に育ってきた富士吉田市は富士山を名実ともに世界一にしたい」
と世界一の山・エベレストをライバル視。達成額に合わせて富士山の増築プランも変更する予定だ。目標としているのは、想定標高1万1328メートルになる「富士山3個分プラン」。施工方法について次のように説明する。
「台形の美しさをそのままに残しながら、傾斜をつけることで同じ面積幅で1万メートルを超える富士山を実現させます。緻密な工事、大量の岩石の補強、および4:6の割合の雪を実現させるための人口雪機能が必要」
この予算に届かなかった場合、山の上にビルを建設することで高さを補う「ビル建設プラン」、最低限の予算しか集まらなかった場合はボランティアを募り、エベレストの頂上でジャンプし続けてエベレストを低くする「削るプラン」に変更する予定のようだ。
募集期間は2017年4月1日から2432年4月3日まで。なおこのリリースの最後には「4月1日は、エイプリルフールです」という但し書きがある。
プレスリリース配信サイトで「エイプリルフール」と検索すると、他にもネタリリースが出てくる。日本人の苦手な「R」と「L」の発音がしっかりできるようになるキャンディ、赤ちゃん返りをVRで体験できる体験型洗脳装置、九州の街でマッチョがお姫様抱っこで顧客を運ぶ「マッスルタクシー」運行など、まだ3月が終わっていないにも関わらず、さまざまな「4月1日」専用ニュースが配信されている。
いぐさ使用「食べられるお箸」は食物繊維たっぷり!
しかし、このようなニュースの中に「本物のニュース」が混ざっているのも事実だ。熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会は31日、いぐさが原料の「食べられるお箸(畳味)」を世界で初めて開発したと発表した。
この箸は、熊本産いぐさを使用。普通の箸として使用した後は、そのまま食べられるという。いぐさの食物繊維含有量は高く、1膳あたりサラダ1皿分にも値する。
元々、熊本県には1万戸以上のいぐさ農家が存在したが、この40年で約95%も減少している。またSNSに投稿された「畳」の文字も年々減少しており「そもそも『畳』という言葉すら口にしない」人が増えているようだ。担当者は、
「なら、無理やりでも『畳』を口にできるものを作ればいいかなと思って、原料の『いぐさ』をお箸にしました」
と言い、「せっかくなので嘘を口にする前に『畳』を口にしてほしいなとエイプリルフール前日に情報公開したんです」と素直に語った。
実際に使って、美味しく頂いてみた。
現在、「食べられるお箸」は都内2店、熊本1店の飲食店で提供されているというが、編集部でも入手したので、実際に使ってみた。まず、ほっけの塩焼きをほぐしてみる。箸が少し太いが、無理なく使うことができる。骨部分をこそげるのは少し難しかった。ほっけが美味しい。ビールに合う。
続いて、そば。汁物のため箸が壊れてしまうか不安だったが、こちらでも美味しくそばを頂けた。
しかし、炭水化物・タンパク質・アルコールを摂取したが、食物繊維が足りていない……。
そんなときはサラダ替わりに、先ほど使用した「食べられるお箸」。実際に食べてみると「バキッ、ガリっ」と音がする。噛むと口の中に「いぐさのにおい」のような味が広がる。クッキーにすりつぶされた草が入ったような感じだ。花見や遠足のときに持参すれば、帰りの荷物が減り、エコで健康にもいいし、食後のデザートとしても楽しめるのではないだろうか。