2017年からWRC世界ラリー選手権に復帰参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRT。チームが挑む次なる戦いは4月6~9日に行われるターマック(舗装路)イベント、第4戦ツール・ド・コルスだ。トヨタは2台のヤリスWRCを投入し、4戦連続の完走を目指す。
■『1万コーナーのラリー』の異名を持つ伝統的1戦
3月10~12日に行われた第3戦メキシコから約1カ月のインターバルで行われるツール・ド・コルスは、地中海西部に位置するフランス・コルシカ島が舞台の1戦。今季初の本格的なターマックイベントだ。
WRC開催初年度の1973年からシリーズに組み込まれるなど、長い歴史を持つツール・ド・コルスでは、スペシャルステージ(SS)の多くが道幅が狭く険しい山岳地帯に設定される。タイトコーナーが連続することから、『1万コーナーのラリー』とも呼ばれるほど。
コース脇には岩や断崖絶壁が迫るなど、エスケープゾーンはほとんどなく、また路面の舗装も平坦な箇所や舗装が崩れている箇所が混在。同じアスファルト路面とは言え、サーキットとは異なる難関がドライバーたちを待ち構える。
2017年のツール・ド・コルスは、3日間合計で全10SSの構成。他大会よりも少ない設定だが、50km前後のロングSSが多いため、合計距離は316.80km、総走行距離は1080.73kmにも及ぶ。
チームのエース、ヤリ-マティ・ラトバラは2015年にツール・ド・コルスで総合優勝を飾っているほか、フランス・アルザス地方で行われた2014年ラリー・フランスも制するなど、フランス戦との相性はいい。また、チームメイトのユホ・ハンニネンも2008年大会でクラス1位を獲得している。
前戦ラリー・メキシコに続き、新たな戦いに挑むトヨタは、ラリー本戦に向けて3月下旬にコルシカ島で事前テストを実施。2日間を走り込み、マシンをツール・ド・コルス仕様に仕上げたという。
■トミ・マキネン「今回のラリーに向けて、ポジティブなことがたくさん」
TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表、トミ・マキネンは「クルマに改善を施し、今回のテストはとてもうまくいった」とテストの手応えを語る。
「今のところ、舗装路でのヤリスWRCのパフォーマンスは非常に期待できると思っている。結果が伴えばベストだが、我々の目標は引き続き、経験と学びを積み重ねることだ」
「今回のラリーに向けて、ポジティブなことがたくさんある。まず、ヤリ-マティはツール・ド・コルスが好きで、とても良いムードでいる。ドライバーがこのような精神状態のときは、よいパフォーマンスができるものなんだ」
「コルシカ島のコースにはカットできるコーナーはほとんどない。だから、彼は2番手走者だが、路面の状況については問題ないはずだよ」
「また、ユホの体調は完全に回復した。前回のメキシコでは体調を崩しながらもいいパフォーマンスをして完走し、ポイントも稼いでくれたね。体調が万全になった今回はさらに自信を持って挑めると思う」
■ラトバラ、ハンニネンが意気込み。「過度な結果にとらわれない」
現在、ポイントランキング2位につけるラトバラは「僕にとってツール・ド・コルスは特別なイベント」とコメントした。
「1986年のヘンリ・トイボネンの事故も含め、フィンランド人ドライバーにとって、なかなか結果が出せない難しいラリーだったから、僕がこのラリーで勝てたことは非常に大きな意味があった」
「(開幕戦の)ラリー・モンテカルロを走って、ヤリスWRCのターマックでのポテンシャルはある程度分かっていたけれど、今はモンテカルロの時よりもさらにいいフィーリングになっている」
「ただ、これまでの3戦で分かったように、ライバル達もとても強く、簡単にはいかない。ここまで着実に行ってきたように、過度に結果にとらわれず、ラリー毎にクルマを改善していくという目的に向かって集中していくよ」
メキシコでは体調不良から思うような結果を残せなかったハンニネンは「メキシコで、粘り強くやれば、悪条件のなかでもいい結果が出せることが分かった」とコメント。「前回よりずっと調子がよく、ターマックに戻る今回のラリーがとても楽しみだ」と意気込んだ。