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WEC:トヨタのドライバー陣が語るTS050。中嶋一貴「特性的にも改良されている」

2017年03月31日 18:11  AUTOSPORT web

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2017年もトヨタからWECに参戦する中嶋一貴
TOYOTA GAZOO Racingから2017年のWEC世界耐久選手権に参戦するドライバーたちが、今シーズンへの意気込みを語った。

 昨年、残り3分で手からこぼれ落ちたル・マン24時間耐久レース総合優勝、そしてWECシリーズチャンピオン奪還を目指し、全面改良を施したTS050ハイブリッドを投入するトヨタ。

 今季は、2台がル・マンを含むWEC全戦にエントリーしてシリーズチャンピオンを目指すほか、第2戦スパ・フランコルシャン、第3戦ル・マンについては、悲願の総合優勝を目指し、3台目のTS050ハイブリッドが投入される。

 マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスとともに7号車をドライブする小林可夢偉は「昨年はいくつか残念なレースがありましたし、何よりもル・マンでの勝利という最大の目標が果たせませんでした」と昨シーズンを振り返る。

「もしル・マンで勝てていれば、WECのタイトル争いでも大きなチャンスでした。(2017年は)その両方が目標です」

「冬季オフシーズンを終えて、またレースに戻ることができて嬉しく思います。2017年仕様のTS050ハイブリッドは見た目もカッコ良いですし、バランスはニュートラルで素晴らしいです」

「レギュレーションが変更されましたが、大きく損なわれたものはないようで、ホッとしています。現時点で良いパッケージングができていると感じています」

 昨年、ル・マン総合優勝まであと一歩というところに迫った中嶋一貴は、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンとともに8号車をドライブする。

「2017年仕様TS050ハイブリッドの第一印象はとても良好でした」と一貴。

「実際に、新型車両は特性的にも改良されているように感じられました。タイトルを争えるレベルだと思っていますが、現時点でライバルがどのレベルにあるのか分かりません」

「我々は昨シーズンもしっかり戦ってきたと思っており、今年もそれを継続し、つねに可能な限り最高の結果を出すために戦っていかねばなりません」

「昨年は結果だけ見ると厳しい1年でしたが、新たなシーズン開幕を前にして、士気はさらに高まっています」

■国本雄資「加速とダウンフォースが衝撃的」

 そして、序盤2戦にのみ投入される9号車をドライブする2016年スーパーフォーミュラチャンピオン、国本雄資は「TS050ハイブリッドは運転がとても楽しいレースカー。レースを戦うのが待ちきれない」と語っている。国本のパートナーはステファン・サラザンとニコラス・ラピエールのふたりだ。

「昨年のクルマとの比較はできませんが、とても衝撃的だったのは加速とダウンフォースでした。今はLMP1-Hカーと、新たな経験となるヨーロッパでのレースについて一歩一歩学んでいるところです」

「毎日がとても刺激的ですが、これからの数週間でやるべき準備がたくさんあることは分かっています。しかし、ステファン(・サラザン)とニコラス(・ラピエール)という、ル・マンでの経験豊富な2人と組めるというのは私にとってとても有意義ですし、素晴らしいことです」

 必勝体制で2017年のWECに挑むTOYOTA GAZOO Racing。チームの初戦は4月16日の第1戦シルバーストン。そして、昨年の雪辱を果たすべく挑むル・マン24時間耐久レースは6月17日に決勝レースがスタートする。

 コンウェイやロペス、ブエミらのコメントは次のとおりだ。


マイク・コンウェイ (TS050ハイブリッド #7号車)
 新しいTS050ハイブリッドをとても気に入っており、現時点での感触はとてもいい。今はライバルがどのレベルにあるのかを知る必要があるね。

 シーズン開幕へ向け、チームやスタッフとの関係も良好だ。2015年と2016年に、このチームとともに戦ってきたことで、私は多くを学んできた。今年は全戦で表彰台を争うべく、#7号車とともに全力を尽くすよ。

 今年は面白いシーズンになるはずだし、新たに#7号車のチームメイトとなるホセも歓迎する。今年がいいシーズンになること、特に最大の目標であるル・マンでの好成績を願っている。

ホセ・マリア・ロペス (TS050ハイブリッド #7号車)
 今年の最大の目標は、可能な限り早く学び、チームとともに最善を尽くすこと。耐久レースでのドライビングは初めてdし、特にコース上の混雑はまったく経験したことがないものだ。

 それらのすべてがチャレンジになるけど、とても楽しみにしているよ。シーズンが始まる前に語るのは難しいけど、勝利のために全力を尽くしたいと思っている。

 今年のTS050ハイブリッドはとても好印象で、LMP1-H車両をドライブするのはとても楽しいね。特にハイブリッド・システムが作動したときはとてつもなくパワフルだ。

セバスチャン・ブエミ (TS050ハイブリッド #8号車)
 新型TS050ハイブリッドの感触は最高さ。今年の車両は「進化」と言える。昨年は「革命」だったね。レギュレーションの変更により、多くのダウンフォースを失うこととなったが、チームはその影響を最小限にすべくハードワークで対処してくれた。

 ドライブした印象は良く、シーズン序盤の現時点では、予想以上のレベルにあると思う。今年の目標はル・マンでの優勝しかないよ。

 それだけに、とても期待しているし、この冬季オフシーズンでの我々のハードワークが報われ、それぞれのレースで勝利を争えるだけの充分に正しいパッケージであることを願っている。

アンソニー・デビッドソン (TS050ハイブリッド #8号車)
 いつでも新型車に接するときは心がときめくんだ。レギュレーションの変更がとても大きかったこともあり、車両のパフォーマンスにも影響があった。その変更が大きかったのが、主に空力面だけど、ここまでエンジニアが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、昨年の車両と比較しても感触は大きく変わっておらず、それはいい状況だと思う。

 この車両でレースを戦うことを考えるととても興奮するよ。特にル・マンでどれだけのパフォーマンスを見せられるか楽しみだね。今季のLPM1-Hクラスは強豪ライバルとの一騎打ちの戦いとなるけど、我々は勝利を目指してベストを尽くすだけだ。

ステファン・サラザン (TS050ハイブリッド #9号車)
 今年も昨年のル・マンでの競争力を再現できることを望んでいる。我々はあの時、最速の車両だった。私の願いはふたたび力強く、勝利のために戦うこと。

 我々はいいチームスピリットを今も保ち続けていますし、それこそが重要なんだ。我々は3台、別々の車両のクルーではなく、ひとつのチームとして全員でともに戦う。ニコラスとふたたび、ともにレースを戦えること、そして新たに雄資というチームメイトを迎えることも楽しみにしているよ。

 自分の経験を可能な限りチームメイトの全員と共有していくつもりだし、それが目標達成のための最高のチャンスを与えてくれると思っている。

ニコラス・ラピエール (TS050ハイブリッド #9号車)
 TOYOTA GAZOO Racingの一員に戻れるのは最高の気分で、本当に楽しみだ。すでに多くの温かい歓迎をチーム全員から受けているよ。懐かしい顔ぶれや新たに加わったメンバーとともに、ふたたびレースを戦えるというのは嬉しいことだね。

 #9号車は他の2台とは異なるスケジュールで、最初のレースとなる第2戦スパ、そして第3戦に向けて、集中して準備をしていく。LMP2クラスで、2年連続のル・マン24時間レース優勝を飾れたのは素晴らしい経験だった。それだけにTS050ハイブリッドとともに今年も続けて表彰台を狙っていく。