2017年03月31日 15:43 弁護士ドットコム
日本弁護士連合会(日弁連)は3月31日、国会に提出された、いわゆる共謀罪の創設をふくむ「組織的犯罪処罰法」改正案について、「監視社会化を招き、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強い」などとして反対する中本和洋会長の声明を発表した。
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法案では、犯罪の主体を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」に限定することや、犯罪の計画だけでなく準備行為も必要とするなど、これまでの共謀罪にはなかった要件を盛り込こんだ。対象となる犯罪の数も、原案では676の罪にのぼっていたものを、「テロの実行」「薬物」「人身に関する搾取」「その他資金源」「司法妨害」の5分類、合計277の罪に限定した。
一方で日弁連は、これまでも共謀罪について、「現行刑法の体系を根底から変容させる」「(犯罪そのものではなく)犯罪を共同して実行しようとする意思を処罰の対象とする」「テロ対策のための国内法上の手当はすでになされている」などとして、法案に反対する立場を表明していた。
会長声明では、今回の法案についても、「犯罪主体がテロ組織、暴力団等に限定されることにならない」「犯罪の成立を限定する機能を果たさない」などとして、これまでの問題点が解消されたとは言えないことを指摘。「監視社会化を招き、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強い本法案の制定に強く反対する」と訴えている。
(弁護士ドットコムニュース)