もうすぐ4月。新年度に向けて、今までを振り返ったり新しいことを始めたりする人もいるだろう。楽器奏者は、この節目に楽器をメンテナンスや修理に出すことも多いという。そんな中、とある楽器店のサイトがツイッター上で話題になっている。
お盆前後は「帰宅時に花火大会を眺め、行ったつもりになる」
島村楽器が運営する管楽器専門店「Wind&Repair」(千葉県)。楽器の性能をフルに引き出すには普段の手入れはもちろん、技術者による定期的なメンテナンスが必要になる。しかし同店WEBサイトには
「でも、いつ行っても混んでいる…(ゴメンナサイ)」
と記されており、時間がかかってしまうのが現状のようだ。
そこで同店はWEBサイトに年間を通しての混雑具合を掲載した。コンクールや定期演奏会シーズンを始め、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始が混むという。表も掲載されており、月ごとの「混み具合」や「多いご来店内容」の他に「技術スタッフの心境」という項目も。この「心境」が、スタッフの姿をありありと思い浮かべられるものとなっている。
例えば、比較的空いている6月は、
「7・8月を乗り切るため筋トレを始める」
というもの。この筋トレを経て、7月上旬~中旬は「夏の納期を心配しはじめ手帳を開けたり閉めたりする動作が増え、修理をする夢をよく見るようになる」。コンクールがある真夏が近づくにつれ、過酷度が増してくる。
「7月下旬:手帳が真っ黒に埋め尽くされる。『時間よ止まれ!』と口にするも、時計の秒針が動く事に首をかしげる」
「8月上旬:手帳に紙を足すが真っ黒に埋め尽くされる。『時間よ止まれ!』と口にするも、『それでは貴方も止まるのでは』と指摘される」
「一部、表現に誇張が含まれます」としているが、かなり生々しい。そしてお盆前後には「足した紙の裏側も真っ黒に埋め尽くされる」ほどになり、「帰宅時に花火大会を眺め、行ったつもりになる」と、全くもって夏を満喫できない激務っぷりと物悲しさが見て取れる。
8月下旬になると「コンクールの結果を聞き、一緒に咽び泣く」という愛情に満ちた対応が行われるようだ。その一方で、「『宿題は終わりましたか?』を繰り返し口にする」というおちゃめな一面も垣間見えた。
怒涛の夏が終わった9月には、
「夏の思い出が無い事に気づき、スイカ割り大会を企画する」
と仕事より夏を取り戻すことに全力を出すという。
メンテナンスは、スタッフの「心が穏やか」な2月がオススメ
一方、閑散期である2月は「心が穏やか。定期メンテナンスならこの時期!」と晴れ晴れしさが伝わってくる文章が綴られている。
ちなみに3月は「忙しさが増すにつれ、独り言が多くなり楽器や修理道具に話しかけ始める」、4月は「部内オーディションを控え、緊張する学生さんの相談役も引き受ける。過去の自分を思い出し、一緒に涙ぐむ」と一年を通して奏者と楽器に寄り添う様子が面白可笑しく、時には微笑ましく記されている。
ツイッターでは3月27日に、「島村楽器ってところのリペアのサイトなんだけど、『技術スタッフの心境』ってところが面白すぎる」というツイートが投稿されて話題に。「これ全ての店で発信すればなんかイライラとか小さなトラブル 減りそうな気がしますw」といった反応が寄せられていた。
同店は「勿論、1年間どの時期でも全力・全速で修理致しております!」と述べ、比較的空いている1月から2月にかけて毎年メンテナンスをする習慣をつけることをおすすめしている。