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『暗黒女子』清水富美加の本編映像 耶雲監督「彼女とは見えているイメージが同じだった」

2017年03月31日 08:03  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)2017「暗黒女子」製作委員会 (c)秋吉理香子/双葉社

 清水富美加、飯豊まりえW主演作『暗黒女子』より、本編映像と耶雲哉治監督のコメントが公開された。


参考:動画はこちら


 本作は、秋吉理香子の同名小説を、『百瀬、こっちを向いて。』『MARS~ただ、君を愛してる~』の耶雲監督が実写化したミステリー映画。聖母マリア女子高等学院・文学サークルのメンバーたちが、謎の死を遂げたサークルの会長・白石いつみの“死”についての小説を書き、闇鍋をしながら朗読会を開く模様を描く。


 このたび公開されたのは、小百合を演じる清水の凄みが集約された本編映像。文学サークルのメンバーが、それぞれ犯人を告発する小説を朗読し終えたシーンだ。いつみが場面ごとに表情をくるくると変えるキャラクターであるのに対して、小百合は常に控えめで、一貫して感情の抑揚を外に出さない謎めいた役どころ。いつみが遺した小説が存在すると知った高校生作家・高岡志夜(清野菜名)が、激しく動揺するのに対して、声を荒げることなくかすかな口調や表情の変化、スピード感だけで威圧感を与えている様子が収められている。


 この清水の演技について、耶雲監督は、「清水さんにはある程度のイメージだけ伝えていて、それに対して彼女が提出してきたものです。彼女とは見えているイメージが同じだったので、“あ、今の失敗しました! こう言わなきゃいけないのに! もう1回お願いします!”と自分から申し出てくれることも結構ありました」と振り返った。また、キャラクター作りの参考にと監督が清水に薦めたのは、市川崑監督作『黒い十人の女』での山本富士子や岸恵子とのこと。だが、清水が実際に参考にしたのは、自身で腑に落ちることができた滝川クリステルだった。そんな清水に対して監督は、「難しい課題に対して自分なりに考えて答えを導き出せる女優なんだな」と、当時感じたことを明かしている。


 監督は、本作を通じての清水とのやりとりで最も印象的だったエピソードとして、小百合役の清水がいつみの書いた朗読小説を代読するシーンを挙げ、「清水さんは『すごく難しい! まりえちゃんはこんな難しい役やってるの!?』とか、『私のは使わないでください! っていうぐらいに難しい!』とか、『いつみの気持ちで読むこの独白は本当に難しい』ということを何度も繰り返し言っていたのが印象的でした」とコメント。その録音作業の後で飲みに行った時になってもなお「まりえちゃんの声の方がいいですよ」と言い続けていたという。監督は、「何でも上手にさらっとやってしまうような印象があったけど、清水さんでもそんな風に思うんだ……と意外に感じました」と語った。


 最後に監督は、清水富美加という女優について、「作品のためになるアイデアを出してくれる方で、ある意味で天才かなと思います」と話している。さらに、「このキャラクターがこの映画の中でどう見えればこの作品がよく見えるのかと、というところまで俯瞰で見えている部分がほかの役者さんとは違う気がします。その上で、自分が演じるこのキャラクターがやるべき到達点、逆にやるべきでないこと……といった計算が出来る人です」と称した。なお、本作のラスト24分の中で、小百合の複雑な内面が表れているシーンがあるが、この場面は脚本には書かれておらず、小百合の気持ちになって考えた清水の提案で追加され、本編に実際に採用されたものだという。(リアルサウンド編集部)