入社式を迎えた後は、新人研修を受ける人が多いはずだ。研修の目的は、業務を行うために必要な知識やビジネスマナーなどを身につけてもらうことのはずが、近年では社員を肉体的にも精神的にも追い込んでいく「ブラック研修」が問題になっている。
ツイッターでは3月28日、とあるユーザーが新入社員に注意を呼びかける投稿をした。4月から新社会人になる人に向け、「研修の日程なんかを貰ってると思うけど」と前置きしたうえで、
「その研修が『外部』で『一週間以上の泊まり込み』で『持ち物:動きやすい服装、履き慣れた靴』であれば99%幸せになれません。新卒の頃、上記に該当していた僕からは以上です」
と書いている。
「無意味に大声を強要されたり無意味に40キロくらい歩かされたりする」
このツイートは約2600件リツイートがされたほか、トゥギャッターでもまとめられて拡散。投稿者が書いた内容に合致するという人物は「それにがっつり該当してます…よければ詳しくお願いします…」と物憂げに質問していた。
これに対しては同様の経験を持つ人物が、「軍隊のような規律行動に加えて『主体的行動』を強く求められる」とリプを投稿。
「『新卒の精神構造を変える』のが主な目的ですので空気に飲まれないように」
と添えた。後に投稿者は、「無意味に大声を強要されたり無意味に40キロくらい歩かされたりします。頑張ってください」と書き込んでいる。
新社会人からはほかにも、「持ち物以外該当してた」「まだ1週間ではないからセーフ」「研修、自社に1ヵ月缶詰のあと他社に2ヵ月缶詰というところまで聞いている」などのコメントが見られる。こうした研修は珍しくないようで、「こんな感じの研修しない会社あったら教えてください」という叫びも挙がっていた。
「心神喪失状態」に追い込み、正常な思考を奪い去ることが目的
はてなブックマークでも、新人を放置して「飛び込み営業に行きたい」と自分から言いだすのを待つという「クソみたいな教育方針」を書く人もいた。
ブラック研修では、睡眠を取らせない、外界との連絡を遮断する、同期同士の粗探しをして指摘しあうなどをさせることが多い。こ労働相談を行うNPO法人POSSE代表の今野晴貴氏は昨年4月にヤフー個人に寄せた記事でこうした研修を「洗脳研修」と評した。
「新入社員たちをある種の『心神喪失状態』に追い込み、正常な思考を奪い去ること」が目的だという。こうすることで研修を受けた人は次第に、「命令されたことはどんなことでもやるのが当たり前」になっていくというのだ。その上で今野氏は、会社の様子がおかしいと思ったらユニオンなどの専門の窓口に相談することを推奨している。