日本では、食べられるのに廃棄される「食品ロス」が年間632万トンもあるという。そうした中、歓送迎会やお花見など宴会シーズンの到来を控え、環境省や農水省などは「3010運動」を呼び掛けている。
乾杯後30分、お開き10分前は料理を楽しみ、食品ロスの削減に結び付ける
3010運動とは、宴会時の食べ残しを減らすキャンペーン。乾杯後30分は席を立たずに料理を味わい、お開き10分前になったら自席に戻って料理を残さずいただこうというもの。
元々は2011年の5月、長野県松本市の市長が宴会での食べ残しの多さを問題視し、市のゴミ削減を担当する部署と協力して展開させた運動だという。ゴミの削減はどの自治体にとっても課題で、松本市の運動に注目した他の自治体が興味を示し、全国に波及していった。
松本市環境部環境政策課の担当者は
「食品ロス自体の正確な計測はまだなので一概には言えませんが、2011年に8万3295トンあった可燃ごみが、2015年には7万9680トンに減りました。運動はゴミの減少の一翼を担っていると思います」
と、取り組みの意義と効果を語る。
環境省は3月28日、こうした自治体の動きを後押しする目的で、ツイッターで運動の周知と実施を呼び掛けた。昨年11月には飲食店のテーブル上に置ける三角柱型ポップを作り、自由に使えるようネット上でデータを配布している。
一声かけるだけでも効果あり 「幹事さんは積極的に促して」
発祥の地松本市では昨年7月から「『残さず食べよう!』推進店・事業所認定制度」を設け、食べ残しの持ち帰りに対応する飲食店などにお墨付きを与えるなど、市を上げて食品ロスの削減に取り組んでいる。担当者は「最後には料理を食べる人の実施が必要になるので、ぜひ心がけてもらいたい」と話す。
「今日から農水省の食堂でポップを立てました」という同省の食品産業環境対策室の担当者も、
「幹事さんがひとこと『今日はおいしく食べきろう』と声をかけていただくだけでも、食べ残しの削減には効果があります。時間になったらすぐにお開きにすると、残っている料理をいただく時間がありませんから、10分前になったら知らせる、などの工夫をしていただけるとありがたいです」
と呼びかける。せっかくの美味しい料理、歓談に夢中になるあまり、多くを残してしまってはもったいない。ここはぜひ、参加者全員で無理なく美味しく食べきることを意識しながら宴を楽しみたいものである。