旅行代理店てるみくらぶの破綻が、各方面に多くの被害を及ぼしている。3月27日には、約50人の入社予定者に内定取り消しを通達。2018年度の新卒採用活動も直前まで実施していたというが、企業口コミサイト「キャリコネ」への口コミからも、ずさんな労務管理や資金状態の悪さが浮き彫りになった。
「社員の負担は全く考慮されていない」「とにかく人が定着しない」
寄せられた口コミ件数は28件、会社全体に対する評価は5段階評価で1.9と低い。3月11日に寄せられた口コミでは
「ありえないほどのノルマが与えられます。具体的には、1人に対して、2人でもこなせないような金額のノルマが日単位で割り当てられ、こなせない場合には部長からお叱りを頂きます」
と、過酷な労働環境だったことがうかがえる。2012年度にテレホンオペレーターとして働いていた女性も「男性社員は社内に泊まって残業している人もいました。売り上げ第一で、社員達の負担は全く考慮されていませんでした」と内情を明らかにした。
カウンターセールス職で働いていた女性は「年齢も比較的若い方が多く、手をあげれば何でもやらせてもらえる環境でした。また社員同士の仲はとても良かったです」と良かった点を挙げた一方で、
「ただとにかく人が定着しないので、他の人に仕事がまわってしまい、なかなか家に帰れない日々もありました。有給取得は申請すれば取れますが、仕事量が多いため、実際とってる人は少なかったです」
と書き込む。授業員数80人規模にも関わらず50人程度の内定者を出したのは、それだけ人の出入りが多いということなのだろう。
てるみくらぶ内定者の受け入れを表明する企業も
NHKでは、元社員の女性が「赤字でもいいから、とにかく売るという形でやっていた」と会社の内情を証言。「破産手続きに入ったと聞いたとき、やっぱりなという感じでした。会社もこうなることをわかっていたのではないかと思います」と語っていた。こうした状況で新卒者を採用し、入社直前になって倒産、内定取り消しなど、もはや詐欺と言って過言ではない。
こうした中、財団法人宿泊施設活性化機構 (JALF)が、てるみくらぶの内定者の一時的な受け入れを表明している。警備会社JSSの倭文浩樹社長もツイッターで「てるみくらぶに内定されてた新卒の方は無試験で株式会社JSSで採用させていただきます。 ※法令で定める欠格事由に該当する方を除きます」と呟く。被害にあった内定者にとって「地獄に仏」となるだろうか。