格安を謳っていた旅行会社てるみくらぶが3月27日、資金繰りの悪化を理由に東京地方裁判所に破産を申請し、手続き開始決定を受けた。既に渡航中の人には「自力で帰ってきて」というなど、利用者は散々な巻き込まれ様だが、旅行者を上回る困難に追い込まれているのが、4月に入社予定の新卒内定者たちだ。
「入社予定だった僕の先輩がいます。かける言葉がみつかりません」
ツイッターでは24日ごろから、
「てるみくらぶ逝ったあ 俺の内定先なのに」
「祖父母に何て言えばいいんやろ... 就職も卒業も決まって喜んでくれたのになー」
など、悲しみと諦めの声が聞こえ始めていた。テレビ朝日の報道によると、てるみくらぶは現在の従業員数が80人程度であるのに、50人もの内定者を出していた。3月27日に内定者向けの説明会を行い、全員に内定取り消しを通告したと報じている。
まさか入社5日前に内定先が倒産するなど、夢にも思わなかっただろう。ツイッターでは「200人も従業員いない会社だよな。それで採用50人?」との批判もある。就活生向け情報提供サービスのみん就の掲示板では
「まぁ……仕方ないですよね。これも運命だと思います プラスにとらえて僕は再スタートをしようと思います。前途多難な人生になりそうですよ」
と、思ってもいない事態に困惑する内定者の様子が見られた。先輩が入社予定だったという学生は
「ここに入社予定だった僕の先輩がいます。実家からは距離的に通えないため、勤務先に近い家を借りて引越しも既にすんでいるそうです。かける言葉が見つかりません」
と、他人事ながら辛そうだ。
2018年卒業者向けの説明会は当日朝に急きょ中止 1月には中途採用の募集も
同社の採用サイトは現在すでに閉鎖されているが、2018年の卒業者向けの新卒採用も実施していた。24日にみん就掲示板に書き込まれた、
「3/23の説明会がいきなり中止になったのですが、同じように当日の朝に説明会の中止メール来た方いらっしゃいますか?」
「私も急なことで驚きました。直接的な理由かはわかりませんが、ツイッターで会社名を検索したところ何か問題が起こったようですね」
というやりとりからも、先週あたりから就活生の間に不穏な空気が流れ始めていた様子が伺える。「2018卒採用サイト無くなってますね……せめて出した履歴書ちゃんと処分してくれるといいんですけど」と、個人情報の取り扱いを心配する声も聞かれた。
今年1月にはリクナビNEXTで総合職の中途採用も募集しており、「全くの未経験から挑戦できる道があります」と謳っていた。
内定者は失業保険も適用にならない。卒業要件を満たしていても卒業を延期できる制度のある大学でも、手続き期間は軒並み過ぎている。なにより、財務状態が事前に分かっていたのであれば、採用数を抑えたり、控えたりすることもできたはずだ。第二新卒や既卒への門戸が開かれつつあるとはいえ、一日で急に人生が変わってしまった内定者の心痛はいかばかりか。
キャリコネニュースでは、内定者へのフォローや今後の対応について取材を試みたが、営業時間内にも関わらず、代表電話、お客様相談室ともに「ただいま営業時間外です」との音声が流れた。破産管財人の弁護士が所属する法律事務所へも問い合わせたが、「返金手続きなどの専用窓口に電話をしてほしい」とのことだった。