エン・ジャパンは3月24日、「過重労働」に関するアンケート調査を発表した。調査は1月25日~2月21日、408社の企業を対象にインターネットで行われた。
「残業代が社員の生活給の一部となっている実態がある」
それによると、4割の企業が「過去1年間で過労死ライン(月80時間)を超える残業をした社員がいた」と回答。業種別に見ると、「いた」と回答した企業がもっとも多かったのは「広告・出版・マスコミ関連」で64%。次いで「IT・情報・インターネット関連」(48%)、メーカー(45%)、サービス関連(38%)となっている。
規模が大きくなるにつれその割合が多くなり、従業員数501人以上の企業では68%が「いた」と回答している。
また、74%の企業が過重労働防止に取り組んでいることが分かった。取り組み内容としては、「業務分担やフローの見直し」(58%)、「管理職への教育(時間管理)」(52%)、「残業を事前申請させる」(51%)が上位に挙げられた。既存社員の業務の進め方の変更を行う等、社内ルールの整備を優先している企業が多いことが分かった。
社員が過重労働に陥る背景としては「管理職が遅くまで社内に残っていることで、他の一般社員が帰りにくい雰囲気がある」「会社に長くいることを推奨する風土がある」という声が挙がった。長時間労働を推奨しているような風潮が職場にあるようだ。一方で、
「残業代が社員の生活給の一部となっている実態。それを減らすということが社員のモチベーションダウンにならないように、改善に取り組まなければならないのが悩み」
という声も出ていた。
「企業名を公表すれば是正される?」「有名企業でなければ話題にならない」
昨年12月に政府が取りまとめた「過労死等ゼロ」緊急対策については、「知らない」(「名称は聞いたことがあるが、内容はよく知らない」「知らない」)と回答した企業は84%にものぼった。
「過労死等ゼロ」緊急対策とは、長時間労働の是正やメンタルヘルス・パワハラ防止対策を行い、社会全体で過労死等のゼロを目指す取り組み。特に長時間労働の是正に関しては過労死ラインを超える企業の社名公表や是正指導の強化が注目されている。
この取り組みに関して、「企業名の『公表』は社内外問わず信用に影響を及ぼすため、上層部も本腰を入れて取り組むのでは」と期待する企業がある。その一方で「有名企業でもなければ社名が公表されても話題にならない」と考えている企業もあるようだ。
また「下請け企業の場合、急な納期のひっ迫により残業をしなければならない場合がある」と行政に現状を知ってほしいという声もあがった。
しかし、「過労死の本質的な要因は長時間労働ではなく、時間内及び自己能力ではこなせない業務の積み重ねだ」という声や、「除外されるべき業種もあっていいと思う」とする企業もあった。