トップへ

義母の「借金2000万円」が発覚…息子夫婦はどうすればいい?【小町の法律相談】

2017年03月24日 14:03  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

2000万円もの借金を作った義母に泣きそうですーー。Yomiuri Onlineの「発言小町」にそんな投稿が寄せられました。トピ主によれば、借金の内訳は税金の滞納分、消費者金融だったそうです。義父が亡くなり、判明しました。


【関連記事:キラキラネームよりも大変? 名字が珍しくて子どもがいじめに…変更は可能か】


今回わかったのは、以前から借金があったこと。「土地を広く持っていて、畑やアパートをもち、店舗も貸しています」というのに、過去に、義妹の貯金2000万円から返済していたこともありました。


義母は「見栄っ張り」で「お金に汚い」と、トピ主は非難します。そこで、「土地を売る」「滞納分の税金の延滞金について市に相談」「任意整理を弁護士に相談」「支払う(トピ主夫婦が)」の4つの中から対応を考えたいようです。


このような場合、法的にはどのような対応をするべきなのでしょうか? 水野順一弁護士に聞きました。


(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです)


A.義母の借金を「子や子の配偶者」が負担する義務はない


当然のことですが、義母の借金は義母自身が負担すべきものなので、その子や子の配偶者(トピ主)が負担する義務はありません。


自分や配偶者の親を放置できないという心情もあるかと思いますが、「一切関与しない」という選択をした方がお互いのためかもしれません。代わって支払ったお金が返ってこなかったり、将来相続が発生した場合に寄与分を巡って争いになったりするなどのデメリットも考えられるからです。


トピ主夫妻にできることは、義母の判断を助けることです。トピ主らがどのように対応するにしても、義母自身が行動しなくては進みません。義母の協力が得られることが大前提であり、最終的には義母自身が判断する必要があります。


 ●「破産しても、税金の返済は免除されない」


では、具体的な対応策について、検討していきます。


まず、税金の滞納分については、一般的な借金と異なり、仮に破産するとしても支払いが免除されることはありませんし、減額されることも通常ありません。直接、税務署や市区町村役場で支払い方法などを相談するのがいいでしょう。なお、税金の滞納が続くと不動産や預金などの財産を差し押えられる可能性もあります。


 ●「過払い金」の可能性も


次に、消費者金融からの借入れについては、古くから借入れがある場合には、利息の払い過ぎになっている可能性があります(いわゆる「過払金」です)。


平成18年以前は、消費者金融の約定利息が利息制限法の定めより利率が高かったため、これ以前に借りたお金については、額が減ったり、お金が戻ってきたりする可能性もあります(いわゆる「過払金」です)。借金の総額等からするとかなり古くから利用しているようですので、確認してみてください。


なお、利息制限法の定めに基づいた正確な額を再計算をするためには取引の履歴が必要です。再計算ソフトはネットで入手できますし、取引履歴の開示請求は自分で行うことができますので、弁護士を通さずに進めることもできます。


トピ主さんの場合、借金の額を確認できたら、土地を売り、借金の支払いにあてることもいいと思います。一括で支払いができれば、遅延損害金の発生を最小限にできるかもしれません。


ただ、自分で全て行うのは大変なので、弁護士に任意整理(裁判所を通さずに、弁護士が借入先と交渉する)を依頼することを考えても良いでしょう。取引履歴の取寄せ及び再計算も弁護士に任せられますし、仮に過払金があった場合には取戻しもしてもらえます。


なお、再計算をしても借金が残ってしまう場合には、支払額や支払方法につき弁護士が業者と交渉して和解することになります。(家を売るなりして)一括で払えれば一番良いですが、無理なら分割での交渉となります。3年程度で払えるかどうかが、任意整理を行うことができるかどうかの一応の目安になります。


返済期間が3年をこえる、もしくは借入先が交渉に応じない場合には、自己破産も選択肢に入ってくるでしょう。




【取材協力弁護士】
水野 順一(みずの・じゅんいち)弁護士
中央大学法学部法律学科卒。2004年弁護士登録。2010年なります法律事務所開設。共著書3冊。地域に密着した法的サービスを目指しています。離婚等男女問題、相続、借金、交通事故など一般民事事件及び刑事事件を取り扱っています。最近では、離婚等の男女問題を多く取り扱っております。
事務所名:なります法律事務所
事務所URL:http://www.narimasu-law.net