2017年、FIAはドライバーにコース上でより自由にバトルをさせるための取り組みとして、ブレーキングゾーンでの行動を規定する”マックス・フェルスタッペン・ルール”を撤廃することを決めた。
フェルスタッペンが時折見せた、ブレーキング中のポジション防御の動きについて苦情が寄せられ、昨シーズン終盤にFIAはドライバーのホイール・トゥ・ホイールの戦いに関する規則を明確化した。
明確化に際して行われた変更により、セバスチャン・ベッテルはメキシコGPでのダニエル・リカルドへの防御に対してペナルティを受けることになった。しかし冬の間にFIAは、ドライバーが互いにより自由なレースをできるようにしたいという姿勢を明らかにした。
「いわゆる”フェルスタッペン・ルール”はなくなったので、昨年目にしたいくつかのインシデントは、(今年は)わずかに異なるやり方で処理されるかもしれない」とF1レースディレクターのチャーリー・ホワイティングは今週末のオーストラリアGPを前に述べた。
「以前は、ブレーキング中のいかなる動きも調査の対象になるとしていた」
「これからは、シンプルなルールが適用される。実質的には、ドライバーが不規則な動きをする、不必要に遅く走行する、他のドライバーを危険な目に合わせるような行動をとるといった場合は、調査の対象になるという規則だ」
「自由度がとても高いルールになるわけだ」
「昨年の我々のレギュレーション解釈の仕方では、ブレーキング時にラインを変えるのは潜在的な危険があるため、毎回スチュワードに報告されることになるという規定を単純に適用していた」
「これからはそれぞれのインシデントはそれが危険な行為だったか否かという基準だけで対処され、必ずしもブレーキング中にラインを変えたからという理由で調査がされることはない」
ホワイティングによると、ルールの単純化は今年に向けた各チームからの要望であり、FIAはシーズン開幕戦を前にスチュワードと協力してこれに取り組んできたという。
さらに、裁定の一貫性向上の助けになるよう、主なインシデントを収めたビデオアーカイブが作成され、スチュワードはすぐさまそれにアクセスできるという。
「これは各チームからの依頼だった。明らかに危険な行為が行われたケース以外では調査を減らしてほしいという要望があったんだ」とホワイティング。
「昨日我々はスチュワード全員参加のミーティングを行い、昨年物議を醸したインシデントのすべてに目を通した。いわゆる新ルール、あるいは新しいアプローチの下ではどのように対処するかを検討したのだ」
「詳しいことは省略するが、非常に興味深いものだった。一部のケースでは違う対処がなされたかもしれない」
「我々がスチュワードを支援する試みとして行ってきたのは、ビデオアーカイブシステムとでも呼ぶべきものを導入することで、スチュワードは似た性質の他のインシデントを即座に参照することができるようになる」
「これがあれば、あれこれ探し回ったり過去に何が起こったか思い出そうとしたりしなくても、類似のインシデントを引き出せるようになる」
「アーカイブはインシデントの種類で分類される。たとえば衝突の原因なら、クリックしていくと6つのインシデントが表示された。これらにどのような裁定が下されたかを見ることができる。これでスチュワードがより一貫性のある裁定を行えるだけでなく、より早く行うことが可能になる」
ホワイティングは、ポジションを防御している間のライン変更は1度だけとする、ドライバーを規定する厳格なルールは依然として残っていることを明らかにした。