WRC世界ラリー選手権を戦うTOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラは、第3戦メキシコで発生したエンジンとブレーキ周りのトラブルは同ラリー特有の環境によるものだと説明。また、今後は事前テストを強化していくと語った。
2017年からWRCに復帰し、開幕戦モンテカルロでは2位、第2戦スウェーデンでは総合優勝を手にしたトヨタ。しかし、第3戦メキシコではマシントラブルに苦しめられた。
チームが投入するトヨタ・ヤリスWRCには、メキシコ特有の高い気温と標高が襲いかかり、エンジンやブレーキがオーバーヒート。これによりペースを上げることができず、SSで勝利できたのはSS1のひとつのみ。そのほかではステージ上位3台に食い込むこともできなかった。
最終的にはエースのヤリ-マティ・ラトバラが総合6位、チームメイトのユホ・ハンニネンが総合7位でフィニッシュしたものの、優勝したクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)とは、4分以上のギャップをつけられた。
ラトバラは、チームは現在もヤリスWRCへの理解を深めている段階だと説明する。
「メキシコでは競技初日にオーバーヒートがあり、エンジンにダメージを負ってしまった。だから、2日目以降はセーフモードで走行する必要があったんだ。全力を注ぐことはできなかったんだよ」とラトバラ。
「それにブレーキにも問題が出ていた。充分な空気を取り込めず、ブレーキパッドの温度が上がりすぎてしまった」
「ライバルのマシンには、より多くのブレーキ冷却用ベントが設けられていた。僕たちはメキシコを戦った経験がなかったから、どれだけ対策が必要なのか正確に把握できていなかったんだ」
「去年、チームはフィンランドでのテストでマイレージを稼いでいるけれど、その時はオーバーヒートは起こらなかった。テストを行った際の気候や標高では、冷却系やエアフローがしっかりと機能していたからだ」
■チームは第4戦以降、事前テストを強化
また、チームは対策として第4戦ツール・ド・コルスからは事前テストを強化していくという。
「ツール・ド・コルス前に4日間のテストを行う。そして第5戦アルゼンチン前には5日間、第6戦ポルトガル前には6日間の走行も実施する計画だよ」
「これだけテストが充実すれば、プログラム全体にいい影響を及ぼすことになる」
「ツール・ド・コルスで使うブレーキはアスファルト舗装用のものになる。(メキシコより)確実にいい感触のものになるだろうし、(グラベルイベントの)アルゼンチンまでには、メキシコで使ったものとは違うスペックのブレーキをみつけているはずだ」
「ツール・ド・コルス以降のコンディションでは、マシンの信頼性に問題はない」
WRC第4戦ツール・ド・コルスは、フランス・コルシカ島で4月6~9日に開催される。