開幕戦オーストラリアGPの週末を前に、英AUTOSPORTのF1担当13人のジャーナリストたちが、2017年F1ドライバーズランキングを予想した。
テクニカルコンサルタントのゲイリー・アンダーソンや元F1ドライバー、カルン・チャンドックを含む、13人のライター、編集者等が、それぞれトップ10ドライバーを選択。F1ポイントシステムに従って集計し、独自のトップ10が導き出された。
以下に英AUTOSPORTが発表したランキングを10位からカウントダウン形式で紹介し、担当者の短評も添える。
■10位:カルロス・サインツ(トロロッソ)
「2016年のスターは去年よりいいマシンで走れるだろう。ルノーが改善すれば、トロロッソはいい成績を残すだろうし、サインツは2018年にビッグチームに移籍するため、チャンスをきっちり生かしきる」
「初表彰台のチャンスがあるかもしれない」
■9位:ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
「F1新規則はヒュルケンベルグに向いている。シーズン中にルノーは他をしのぐペースで開発を進めていき、ランキング5位を確保するだろう」
「ルノーは昨年よりかなり改善したように見える。ニコは優れたチームリーダーとして、パッケージのポテンシャルを最大限に引き出すだろう」
「ヒュルケンベルグは現役ドライバーでトップクラスの能力を持っている。今年のルノーは彼の能力に見合うものではないだろうが、今年努力していくことで2018年には優れたマシンを手にすることができるかもしれない」
■8位:セルジオ・ペレス(フォース・インディア)
「フォース・インディアは去年よりは苦労するだろうが、ペレスはコンスタントに入賞し、序盤には表彰台の可能性もある」
「3回表彰台に上り、『将来トップチームに行くべきドライバー』と再びもてはやされる」
■7位:フェリペ・マッサ(ウイリアムズ)
「ウイリアムズのマシンは強力に見える。ベテラン、マッサはコンスタントにポイントを獲得するかもしれない。しかし昨年引退を発表した後のパフォーマンスはぱっとしなかったため、今年も同じことが起こる恐れはある」
「今年のマシンは彼に合っている。2008年のマッサのすごさがもう一度見られるかもしれない」
■6位:キミ・ライコネン(フェラーリ)
※1名がチャンピオンになると予想
「今年のトップ6は接戦になるかもしれない。昨年後半、ライコネンはチームメイトより優れた成績を残したとはいえ、昔のライコネンほどの速さを見せたわけではない。その流れでいけば、今年はトップ5に入るのは難しいかもしれない」
「ここ数年と同じ。コンスタントな走りをしてポイントをあげるが、チームメイトより少し遅い。その状況は変わらないだろう。レッドブルのドライバーふたりは非常に優れているため、マシンの力が接近しているようであれば、彼らが勝つだろう」
「何度か“かつてのキミ”のパフォーマンスを見られるかもしれないが、毎戦は無理だろう」
■5位:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
「ルイス・ハミルトン以来の逸材ではあるが、去年は予選でチームメイトに敗れることが多かった。今年はオーバーテイクが難しくなることが彼にとって課題になる」
「ダニエル・リカルドに遠くおよばないことはないだろうが、経験は少ないため何度かミスを犯すかもしれない。しかし、レッドブルのマシンが向上すれば、リカルドとともにタイトルを争うだろう」
「ルノーのパワーユニットのトラブルが不安材料」
■4位:ダニエル・リカルド(レッドブル)
「リカルドが現役ドライバーのなかでベストであるのはほぼ間違いない。ルノーに再び足を引っ張られるかもしれないが、それでも何度かは勝つだろう」
「テストではフェラーリの好調さが目立ったが、実際にはレッドブルがメルセデスの最大のライバルになると思う。そして、シーズンを通してみると、リカルドはフェルスタッペンより優れたパフォーマンスを発揮するだろう」
「フェルスタッペンに負けると考える者も多いが、リカルドは予選の速さとプレッシャーへの強さで、今年もチームメイト対決を制するだろう。モナコとシンガポールでは優勝する可能性があるし、マシンの開発が進めば、シーズン後半戦は強力に戦える。ただ序盤にエンジンのパワー不足に苦労することが、選手権争いに影響するだろう」
■3位:バルテリ・ボッタス(メルセデス)
「テスト期間、新車を乗りこなしていたボッタスだが、シーズンを通してルイスに勝てるとは思えない」
「徐々にメルセデスに慣れて勢いをつけていき、シーズン後半戦にはハミルトンと戦えるようになるだろう。だがそのころにはタイトル争いから脱落しているかもしれない。何度かポールポジションを取り、優勝を上げて、チームのコンストラクターズタイトル獲得に貢献するはずだ」
「一般的に予想されているより、ボッタスはいい仕事をするだろう。しかし完全になじむまでには時間が少しかかるかもしれない」
「ルイスよりいい成績を出せる機会(あるいはそれが許される機会)はほとんどないだろう」
■2位:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
※3名がチャンピオンになると予想
「テストで見たとおりフェラーリのマシンが優れているなら、ベッテルがタイトルを獲得できる可能性はある。ただ、フェラーリのオペレーション能力、開発能力に不安が残る」
「テストで見る限り、フェラーリはついにベッテルの才能にふさわしいマシンを作り出したようだ」
「昨年は混乱に陥ったフェラーリだが、今年は軌道修正し、速く一貫したマシンを作った。これが助けになって、ベッテルは優勝を重ね、最終戦までハミルトンとタイトルを争うだろう。だがその肝心のレースでフェラーリが戦略を誤り、ベッテルはルノーのジョリオン・パーマーをいつまでも抜くことができずにタイトルを失うのだ」
「フェラーリが、最初は期待を持たせておいて、実際は思うような結果を出せないといういつものパターンに今年も陥ったなら、ベッテルのフラストレーションは高まり、また無線で面白い発言を繰り返すようになる」
■チャンピオン:ルイス・ハミルトン(メルセデス)
※9名がチャンピオンになると予想
「メルセデスはここ数年ほど圧倒的に優勢でないだろうが、ハミルトンはベストのエンジンとほぼベストのマシンで走ることができる。信頼性の問題がなければ彼が昨年のチャンピオンだったし、今年はそうなるだろう」
「トップクラスのドライバー、ベストのマシンとチーム。ただ今年は楽にはいかない」
「メルセデスは開発能力が高く、新加入したチームメイトは慣れるのに時間がかかる」
「テストではフェラーリのペースがよかったが、メルセデスのマシンはSF70Hと同等以上の力を発揮するだろう。ハミルトンのタイトルに向けたモチベーションも高い」
なお、番外編として、マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソとストフェル・バンドーンについての予想が以下のように記されている。
「マクラーレン・ホンダが競争力を高めて中団トップの位置を争えるようになるには相当時間がかかる。それでもアロンソとバンドーンは、シーズン後半、グリッドペナルティに阻まれなくなれば、それなりの結果を出すはずだ」