ジェントルマンドライバーとして、ポルシェで飽くなき挑戦を続けている小林賢二が、2017年のポルシェ・モービル1・スーパーカップにスポット参戦することになった。
小林は埼玉県さいたま市緑区で、『こばやし歯科』を開業している歯科医。子どもの頃からモータースポーツ、そしてポルシェに憧れ、31歳でレースに初参戦。ポルシェカレラカップ・ジャパンをはじめVLNニュルブルクリンク耐久シリーズやGTアジア等、海外のレースにも参戦。スーパーGT300クラスにも参戦した実績がある。
そんな小林だが、2013年にはモービル1・スーパーカップのアブダビ戦にスポット参戦。その際に所属したMRS GTレーシングから、2016年のモナコ戦にスポット参戦のオファーがあった。憧れのアイルトン・セナが活躍したモナコで走るにはF1に出るか、GP2に乗るか、スーパーカップしかない。小林は夢を叶えるべくオファーを受けた。
しかし、渡欧する前日になってまさかの事態が起きる。右目が網膜剥離に見舞われてしまい、緊急手術を受けることになってしまったのだ。ただその際は早期の対応により、手術も無事成功。無事に回復し、スパ、ホッケンハイムとシリーズを戦ってみせた。
2017年のスーパーカップは、全世界のカレラカップに先駆けタイプ991カップカーの後期型が投入されるため注目度が高く、スポット参戦は非常に困難だったものの、MRS GTがスポット参戦の枠を確保。今季も小林の参戦が決まった。
スーパーカップは非常にハイレベルで、このシリーズを勝ち抜いたものはポルシェのワークスドライバーになったり、プロとしてスポーツカーレースで活躍したりしている。「世界中からプロドライバーを目指す若者たちがしのぎを削る世界に参戦するのはとても厳しいです」と小林。
「昨年のスパは予選107%をクリアできず、決勝のグリッドにつくことができなかったことを反省し4月のバルセロナ合同テストにも参加し、少しでもスキルアップを図りたいと思っております」
「2001年からすべてのカップカーでカレラカップに参戦し、タイプ991カップに関しては日本人で初めてドライブしました。今回も後期モデルになった991カップカーで、日本人として初めてレースできることを幸せに思っています」
ジェントルマンドライバーというと“金持ちの道楽”と言われることも多いが、小林は豊富な資金があるわけでもなく、情熱と積極性で“夢”を叶えてきており、国内トップドライバーたちもその夢を応援している。挑戦の成功を祈りたいところだ。