F1オーストラリアGPを前に、メルセデスF1チームのトト・ウォルフが開幕戦に向けた抱負を語った。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
トト・ウォルフ
ひとつの時代というよりは、色々な意味で新たな時代の幕開けだ。F1がマシンを速くするためにレギュレーションを変更したのは初めてのこと。新しいマネージメント陣営が、F1を前に進めるためにどうしたら良いかを注視している。我々のチームではオフシーズン中に大きな人事の変更があった。この数カ月が忙しかったことは確かだが、気持ちの高まる時期でもあった。
新レギュレーションの目的は、この世代のマシンをF1史上最速にすることだ。テストの結果を見ると、それは達成しつつある。いままでに例のないことであり、抜本的な変更だった。我々のマシンは目を見張るほどのものにすることができた。
ドライバーは猛烈なマシンだと話している。それがF1マシンのあるべき姿だ。コースでも観察したし、以前のマシンと並べて眺めたりもしたが、まったくもって壮観だ。私もそのひとりだけれど、ファンのとしての視点からすると本当に特別な感じがする。真のモータースポーツファンなら、生で見るべきだ。
ルイス(ハミルトン)とバルテリ(ボッタス)は素晴らしい居場所を得ている。これまでのチームブリーフィングでは尊重しあい、フレンドリーな関係を築いているところが見られた。今シーズンのマシンは身体的に本当に厳しいものなので、彼らにとってもエキサイティングなんだろう。ふたりともテストでは強大なGを感じたそうだ。彼らは2017年シーズンが新しいチャレンジになることを受け入れている。
我々は新レギュレーションによる新たなチャレンジに、決意を持って取り組んできた。過去3年間は安定したルールのもとで大きな成功をつかんできたが、こんなに大幅な規則変更の後でも力を維持できたチームはない。これほどの挑戦ができるというのは、チームにとって良いことだ。
期待値をコントロールする能力も試される。あまりにも低く設定するべきではないが、きちんとコントロールしていかなければならない。新しいレギュレーションのもと、全員が0ポイントでスタートを切る。グリッドにならぶ全チームに、同じだけのチャンスとリスクが与えられている。2009年を振り返ってみれば、F1がどれだけ予測不可能なものかがわかるはずだ。消滅の危機に瀕していたブラウン(GP)が、チャンピオンを獲得しているのだから。
我々はそのことを念頭に置きつつ、2017年シーズンに突入した。各ライバルを真剣に受け止め、他チームには打開策を編み出す能力があると考え、尊重した。ライバルチームには能力の高い人間が集まっていて、それぞれの分野で世界最高レベルにある。オフシーズンの間は我々もできるかぎりの仕事をしてきたし、もしメルボルンで最速の称号を得られなければ、どうすればトップに返り咲くことができるかを究明する必要が出てくる。高いモチベーションとエネルギーを要する挑戦になる。コンスタントに改善を続けなければならないのだから、たとえ後退したとしても長期的に見ればチャンスになる。
バルセロナでは、トップ集団の差が縮まったことが見て取れた。メルボルンではその部分がどう展開していくのかを見ていこう。他のマシンの燃料搭載量や重量、パワーセッティングはまだわからない。スタートすれば戯言は止むって、昔から言うだろう。