新たにウイリアムズF1のチーフテクニカルオフィサーに就任したパディ・ロウは、チームがいくつかの領域ではすでに、2016年王者のメルセデスを上回る強みを備えていると考えている。
1990年代前半までウイリアムズに所属していたロウが同チームに復帰することが、先週正式に発表された。昨年までメルセデスで働き、3年連続のドライバーズおよびコンストラクターズのダブルタイトル獲得に貢献した後、ロウは契約延長をせずにチームを離脱した。
ロウ自身、自分の加入で即ウイリアムズのパフォーマンスが向上するほどの影響を与えられるとは考えていないが、現在のウイリアムズがいくつかの領域で持つ強みをすでに見分けることができたとしている。
「作業の第一段階は、まずチームを理解し、自分がそこにどうやって新たな価値をもたらせるかを見極めることだ」とロウ。
「現状から大きな伸びを引き出し、価値を最大化して、そして最良の結果につなげることが、自分の挑戦だ」
「やることはどこでも変わらない。あるチームで仕事をしても、ほかのチームでも、今そこにあるものを使って力を尽くすだけだ」
「プロセスはどこでも同じだ。今の段階ですでにウイリアムズが、メルセデスよりも確実に優れている部分を持っていることは分かった」
「強みは何か、(トップとの間に)どのぐらいのギャップがあるのかを見極めて、そこに新たな力を積み上げていくのが私のすべき作業だ」
「過去の数年間、いろいろな人から『強さの秘密は何か?』と聞かれた。だが、それが誰であれ、チームに合流したとたんに何かの奇跡を起こしたり解決策を見つけたりできると期待するのは、大いなる見当違いというものだ」
■感傷にひたる時ではない
ロウは、20年以上の時を経てウイリアムズに復帰したのは感動的なことだと付け加えた。また、今週末のオーストラリアGPで仕事を始めたらすぐに、元のチームのことに思いをはせる暇などなくなるだろう、とも話している。
「面白いことに、もちろん(他のチームで)自分がやったことに対する思い入れはある。だが、それはあくまでもその仕事と次の仕事との間に考えれば良いことだ」と彼は語った。
「オーストラリア入りして、自分が加わったチームに100パーセント向き合うようになったら、今、自分たちがどの位置にあるのか、この先どうすればもっと良くなれるかしか考えられなくなると思う。それは間違いない」
「F1の戦いに没頭したら、他のことは自然と意識の外に消えるだろうね」
「(ウイリアムズへの復帰は)素晴らしい話だ。まだ気持ちを落ち着かせられずにいる」
「チームに復帰した瞬間は感激した。1987年の終わりに最初にウイリアムズに加わってから、もう30年近くたつ。そこに戻るというのはすごく特別なことだし、私の最初のボスだったパトリック(・ヘッド、元ウイリアムズ・テクニカルディレクター)のポジションを実質的に引き継ぐわけだからなおさらだ」
「と同時に、これは感傷にひたることではない。昔話は封印して前に進むべきときだ」
「これから先のことを考えるととても興奮する。このチームの現状にはすでに満足しており、そこに積み上げていき大きく向上することができると期待している」