トップへ

【悲報】「職場環境」を評価する日本の労働者は5.4%と世界最低 国際比較調査で明らかに

2017年03月21日 17:02  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

国が労働環境改善に動き出したこともあってか、長時間労働の削減に躍起になる企業が増えている。健康やワークライフバランスを考えれば歓迎すべき傾向だが、時間の短縮が特効薬のように語られるのにはいささか疑問が残る。

こうした中、オフィス家具メーカーのスチールケース社は世界20か国1万4903人を対象に、職場環境の実態把握と満足度について調査を実施し、3月16日に結果を発表した。それによると、日本の従業員の職場環境満足度は最低だという。

ハード面、ソフト面の両方でグローバル平均との差が顕著に

調査では、オフィス環境については、作業場所の形態といったハード面と、企業風土や文化に対する感じ方というソフト面の2つで質問している。日本に先駆けて実施した17か国の結果を平均化し、日本と比較した。

まずハード面について、自身の作業場所が「オープンな執務スペース」「個室」「オープンな執務スペースと個室の組み合わせ」の3つのうちどれかを聞いた。オープンな執務スペースとは、仕切りが低いか全くない、机が連なっている状態のスペースなどを指す。日本は「オープンな執務スペース」と答えた割合が78%と最も高く、個室は9%、双方の組み合わせは12%と少数派だ。一方、グローバル平均は3種類それぞれに23%、31%、46%と分散しており、日本の職場環境が特徴的であることが分かる。

また、ノートPCの利用率は59%とグローバル平均より高い一方、在宅ワークなどのリモートワークをする人は稀なことも分かった。「毎日する」は0%、「時々する」は6%、「まったくない」が94%と、同じ質問に対するグローバル平均の回答の分布がそれぞれ9%、36%、55%であるのに対し、大きな差が見られる。

企業風土や企業文化に対する感じ方といったソフト面でも、「従業員の能力を最大限に引き出している」は39%なのに対し、「従業員の価値を認め、尊重している」は34%と、調査実施国の中で最も低い結果になった。

こうした2つの側面での結果を踏まえてか、「職場環境を評価する」と答えた割合も5.4%と最低だった。

職場環境の改善にも目を向け、多面的に働き方改革を進めるべき

調査では、会社や仕事に対する態度についても聞いた。「仕事に行くのが楽しい」「仕事にやる気が持てる」など、ポジティブな質問9つが項目に挙がっているが、その全てで日本はグローバル平均を下回っている。

最も高かった「同僚との連帯感を感じる」(52%)も、グローバル平均(76%)には届かない。同社はこの結果を

「集団における秩序や調和を重視する日本的文化も要因していると思われます」

と分析するが、これだけ職場環境への不満が高いと、仲間を作って辛さをやり過ごそうとしているという見方もできるだろう。

職場環境への満足度と従業員エンゲージメント(注:従業員が企業の目標達成に向けて、自発的に自らの力を発揮し貢献しようとすること。それによって従業員も成長するという考え方)には相関が見られ、職場環境への満足度が高いほどエンゲージメントも高くなると判明した。

労働環境の改善を目指す際、長時間労働の削減ばかりに目が向きがちだ。しかし、実際の仕事場である職場の改善にも、同じくらい注意を払うべきだと言える。