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ロス・ブラウン、新F1マシンのシャークフィンに苛立ち。「ファンサービスの目的では却下されたのに…」

2017年03月21日 09:31  AUTOSPORT web

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2012年、マニクールでシャークフィン付きエンジンカバーをテストするメルセデス
F1のモータースポーツ担当マネジングディレクターに就任したロス・ブラウンは、シャークフィンの廃止に乗り出しているといわれているが、当該パーツはかつて、カーナンバー掲示のために使用するという案がありながらも却下されたという経緯がある。このためシャークフィン廃止を渋る意見には、特に苛立っているという。

 ブラウンは、今シーズンから登場したシャークフィンとTウイングを嫌っていることを明言している。しかし現在のF1の運営方法で廃除に導くには、全チームが賛同するか、FIAが安全上の理由を持ち出すしかない。

 シャークフィンの登場は、F1が最良の方向へと進んでいないことの証明であるとブラウンは考えている。また2012年に、ファンがマシンを識別しやすくなるよう、カーナンバーを大きく掲示する手段としてシャークフィンの導入案が提示された際にはチーム側が反対したとして、それが「腹立たしい」と述べた。

「ジャン・トッド(FIA会長)は、カーナンバーをマシンのサイドに掲示して、グランドスタンドのファンがドライバーを識別できるようにするという考えに固執した。それはある意味、有効ではある。すべてのファンが、ヘルメットやその他の部分だけで識別できるほど詳しいわけではないからね」とブラウン。

「大きな数字を簡単に貼り付けられるので、我々は(カーナンバー掲示を)シャークフィンで行うという案を思いついた。しかし半数のチームが『自分たちのマシンにそんなことはしない。ひどい案だ』と言ったんだ」

「実際に試してもみた。写真などの例も出したが、全員が『ひどいものだ。こんなことは望まない』という意見だった」

 次にF1で新たなルールが検討される際には、マシンに醜い付属パーツが付属しないよう、より慎重に抜け穴を塞ぐ必要があるとブラウンは考えている。

「マシンの外観が良くなるというのが、新規則のセールストークのひとつだった。シャークフィンやTウイングといった奇妙なものが導入され、ターニングベインの周りには久しく見ていなかった色々なパーツが付いていることからして、(目標は)半分しか達成されていないと思う」とブラウンは言う。

「新たなレギュレーションによるものだから、それは良いとしても、次回はこうなってはならない。たとえそれが、美観の面だけの話であってもだ」

 F1の新オーナーとなったリバティ・メディアは、競技をより良い方向へと導くための計画を綿密に立てている。ブラウンは、チームがよりオープンな姿勢で新たな提案を受け入れることを望んでいる。

「スイッチを押すようにして変えられるわけではない。我々が心の底からF1のことを思っているということを、理解してくれる人々が変えていくんだ。我々の原動力がF1を改善したいという思いであることを、分かってもらいたい。それ以外の動機はない」

「誰かひとりが勝ち続けているからという理由でレースを歪めるような案に陥らない限り、我々の動機を疑う必要などない。そんな案を取り入れたいとは、絶対に思わない」