ウインターテストには、普段グランプリでは見かけない人々と出会うことが少なくない。そんな人たちに、「あなたは何しに、カタロニア・サーキットに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回は、すでにかつてトヨタF1でレースエンジニアを務めていたオッシ・オイカリネン。
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「コンニチワ」と、F1バルセロナ合同テストが行われていたカタロニア・サーキットのパドックで背後から声をかけられた。振り返ると、見覚えのある北欧の人が立っていた。オッシ・オイカリネンである。かつてトヨタがF1に参戦していたとき、クリスチアーノ・ダ・マッタやヤルノ・トゥルーリのレースエンジニアを務めていた人物だ。
2006年にトヨタからBMWザウバーへ移籍し、09年にフェラーリへ。13年からドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)に戦いの舞台を変え、昨年からは地元フィンランドのテレビ局「MTV」のテクニカルコメンテーターを務めている。
そのオイカリネンが、今年のバルセロナ・テストに来ていた。当然ながら、理由はチャンピオンチームであるメルセデスAMGにバルテリ・ボッタスが移籍して、フィンランドのF1ブームが再燃しているからである。
「バルテリだけじゃないよ。今年はフェラーリも調子が良さそうだから、キミ(・ライコネン)にも注目が集まっている」と笑顔で話すオイカリネン。バルセロナのテストは4日間が2回の合計8日間あったが、そのうち、じつに5日間はフィンランド人ドライバーがその日のトップタイムを記録していたほど。オイカリネンが笑顔だったのも無理はない。
ちなみにフィンランドではF1テスト期間中、毎日15分間のF1中継を行っていたため、オイカリネン以外にもテレビ局のスタッフが大勢詰め掛けていた。
実績のあるライコネンはともかく、移籍したばかりのボッタスがどこまでやれるかは未知数。しかも、チームメートは、あのルイス・ハミルトンである。ちょっと聞きづらい質問だが、思い切って尋ねてみた。するとオイカリネンは笑顔でこう即答した。
「今シーズン、メルセデスAMGが優勝する半分以上、勝てるよ」
それって、つまり……。
「ああ、チャンピオンになる。私はバルテリをGP3以前から知っていて、彼が速いことはわかっていたけど、今回テストで彼の仕事ぶりを見て確信した。慌てず、自分の仕事を着実にこなしている。速さだけでなく、ドライバーとしても成長している」
シーズンが開幕すると、フィンランドのテレビ局のスタジオで解説するため、テストでボッタスの走りと仕事ぶりをチェックしたかったというオイカリネン。果たして、その笑顔はいつまで続くか?