IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ(WSCC)は3月15~18日、第2戦セブリング12時間が行われ、ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)のリッキー・テイラー/ジョーダン・テイラー/アレックス・リン組10号車キャデラックDPi-V.Rが総合優勝を飾った。
今年で65回目の開催となるセブリング12時間。現地17日に行われた公式予選は、ポルシェ・ワークスドライバーのニール・ジャニがドライブするレベリオン・レーシングの13号車オレカ07・ギブソンがポールポジションを獲得した。
2~3番手には、1月の開幕戦デイトナ24時間から好調を維持するアクション・エクスプレス・レーシング(AER)の5号車と31号車のキャデラック勢が続いた。
晴天に恵まれた18日の決勝レースでは、ポールシッターのジャニが駆るレベリオン13号車が好走をみせるが、ピット作業やドライブスルーペナルティなどで順位を下げてしまう。また、スタートから2時間を迎える直前にはメカニカルトラブルにも見舞われ、優勝戦線を離脱した。
13号車に替わってレースの主導権を握ったのは、予選でレベリオンに次ぐ速さをみせた2台のAERキャデラック勢。1回目のルーティン・ピットでトップに立った31号車キャデラックに、僚友5号車が続く展開となる。
しかし、トップを走る31号車キャデラックがテキーラ・パトロンESMの22号車ニッサンDPiと最終コーナーで接触。スピンを喫してしまう。
31号車はスピンした状態から再始動できず、コース上で立ち往生することに。このアクシデントでフルコースイエローの原因となっただけでなく、コース復帰に時間を要したことで優勝争いからも脱落している。
この間に予選6番手から追い上げてきたWTR10号車キャデラックが2番手に浮上。以後、第1戦デイトナで接戦を繰り広げたAER5号車とふたたび火花を散らすこととなった。
両者によるトップ争いは、ピット作業で順位を入れ替えながらレース終盤まで続いた。
チェッカーまで残り1時間となった時点で、5号車から約2秒リードした状態で迎えた10号車は、残り時間35分というタイミングでライバルに先んじて給油のみのピット作業を実施。翌周には、追う立場の5号車もこれに反応してスプラッシュ・アンド・ゴーを行うが、WTRの作業が早く、ギャップは約10秒にまで拡大する。
10号車を追いかける5号車のジョアオ・バルボサはピットアウト直後に10秒あったギャップを、約6秒まで縮めたものの、WTRのアンカーを務めるリッキー・テイラーは危なげない走りで首位をキープ。最後は13秒のマージンを持って、トップチェッカーを受けた。
この結果、10号車キャデラックはデイトナ24時間に続く開幕2連勝を達成。今戦からチームに加入したアレックス・リンは、シリーズ初参戦で初優勝を飾ることとなった。
総合3位には、レース序盤のスピンで周回遅れとなった31号車が入り、キャデラックが表彰台を独占。同4位はJDC-ミラー・レーシングの85号車オレカ07・ギブソンとなった。
■マツダ、ニッサンが苦戦。GTLMクラスはコルベットが初優勝
プロトタイプ(P)クラスを戦う日本勢は、55号車マツダRT24-Pが、レース序盤に左リヤタイヤのパンクと冷却液のリークに見舞われながらも、Pクラス5位/総合29位で完走。
僚機の70号車RT24-Pと、テキーラ・パトロンESMが走らせる2号車、22号車ニッサンDPiの計3台は、それぞれマシントラブルにより、リタイアとなっている。
GTLMクラスは、予選でポールポジションを獲得したフォード・チップ・ガナッシレーシングの67号車フォードGTが、電気系トラブルによりピットレーンスタートを余儀なくされた。
このため、予選2番手の同66号車フォードGTがレースを引っ張る展開となるが、終盤トップに立ったコルベット・レーシングの3号車コルベットC7.Rが66号車フォードGTの追撃をかわし、クラス優勝を飾っている。
クラス3位はリシ・コンペティツィオーネの62号車フェラーリ488 GTE。同4~5位にフォードGT勢が続き、最終盤のリスタート後に3号車コルベットに迫った911号車ポルシェ911 RSRは、残り時間30分で左フロントタイヤがパンクし、同7位に終わった。
■2戦目のNSXとRC Fは次戦につながる完走
アキュラNSX GT3やレクサスRC F GT3が挑むGTDクラスも、GTLMクラスと同様、ポールシッターがピットスタートととなる波乱の展開となった。
そんなレースを制したのは、ライリー・モータースポーツの33号車メルセデスAMG GT3。2017年シーズンから新たに投入されたAMG GT3が、シリーズ参戦2戦目で初勝利を飾った。
クラス2位には、16年のセブリング12時間ウイナーであるスクーデリア・コルサの63号車フェラーリ488 GT3が入り、予選でポールポジションを獲得したサンエナジー1・レーシングのメルセデスAMG GT3が同3位となった。
日本勢では、予選でクラス4~5番手を獲得したRC F GT3が燃料漏れなどのトラブルに見舞われながらも2台揃って完走。14号車がクラス13位、15号車が同18位でチェッカーを受けた。
また、2台のNSX GT3もクラッチやターボ、ダンパーなどにトラブルを抱えながら、86号車がクラス8位、93号車が同14位と、ともに完走を果たしている。
オレカFLM09のワンメイクで争われるPCクラスは、予選2番手からスタートしたパフォーマンステック・モータースポーツの38号車が、スタートから2時間経過以降から独走。デイトナ24時間に続く開幕2連勝を飾っている。
WSCC第3戦は4月7~8日、インディカー・シリーズの併催レースとして、カリフォルニア州のロングビーチで行われる。
・IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第2戦セブリング12時間 予選リザルト
・IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第2戦セブリング12時間 決勝リザルト