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【F1新車分析】ザウバーC36:軽量化を狙ってロールオーバー構造をブレード状に

2017年03月19日 14:41  AUTOSPORT web

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技術ウォッチャーの世良耕太氏が、2017年のF1新車、ザウバーC36の気になるポイントを解説。全体としてはごくオーソドックスなまとまりも、搭載された16年型のフェラーリ製パワーユニットがネック。

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 ザウバーC36の外観で目を引くのはブレード状のロールオーバー構造だ。円環状にするのが一般的だが、ザウバーの説明によれば軽量化を狙ってブレード状にしたという(写真1)。

 ロールオーバー構造(テクニカルレギュレーション上の表記はプリンシパルロールストラクチャー)は車両がひっくり返ったときにドライバーを保護する目的で設けられている。当然、高い強度が必要で、横方向に50kN、後ろ方向に60kN、鉛直方向に90Nmの成分、つまりフロント側斜め上方から加える合力として120kN、約12トンの静荷重を掛けるテストをクリアしなければならない。

 厳しい静荷重テストに耐えるだけの強度を持たせるため、軽くて強いチタン合金でインダクションポッドを兼ねた円環状のパーツをつくり、それをCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)製のモノコックに接着したり、モノコックと一体で設計したりする。ザウバーがどの方法でロールオーバー構造を成立させているかは不明だが、円環状にして必要な強度を確保するより、ブレード状にした方が強度を確保しやすく、その分軽量化できるというわけだ。


 引き換えにネガティブな側面を覚悟しなければならない。直進時は問題なさそうだが、クルマが斜めを向いた状態のときは、ブレードの陰に隠れた旋回外側のダクトには空気が入りにくくなる。そのことも踏まえて開口部のサイズを設定しているはずだ。

 2分割インダクションポッドは過去にも例があり、例えば2010年のメルセデスがシーズン途中で導入した。メルセデスのブレード型ロールオーバー構造を採用したのは軽量化が目的ではなく、開口部を低くして、リヤウイングにクリーンな空気を導くのが狙いだった(やはり、インダクションポッドの効率は落ちる)。

 C36の他の部分に目を移すと、サイドポンツーン前端の開口部はそれなりに小さく(写真3)、アンダーカットは大きい。フロアに近い部分のボディを極端にスリムに抑えたのが目を引く(写真4)。この部分に積極的に空気を流す考えだろう。

 フロントウイングやフロントサスペンション(上下アームの間隔が狭い)、モノコック下のターニングベーンやバージボード~ポッドウイングらの処理は、16年までの延長線上にある印象だ。全体としてはごくオーソドックスなまとまり。16年型のフェラーリ製パワーユニットを搭載するのは、明確なハンデである。