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映画『SING/シング』注目すべきキャストは? MISIAや大橋卓弥に匹敵する3人のキーボイス

2017年03月18日 15:03  リアルサウンド

リアルサウンド

シング-オリジナル・サウンドトラック

 映画『SING/シング』の上映が、3月17日より字幕版と日本語吹き替え版でスタートした。同作は、タイトルに含まれている通り、“歌(SING=歌う)”を軸とした作品。およそ60曲以上もの楽曲が劇中で使用され、声優や歌手として活躍する水樹奈々や宮野 真守からシンガーソングライターの河口恭吾、ラッパーのMC☆ニガリa.k.a赤い稲妻など、様々な分野で活躍するキャストが参加することで話題を集めている。


(参考:『SING/シング』吹替版特別映像はこちら


 吹き替え版に出演する声優陣の中で、公開前から話題に上がっていたのが、歌手のMISIAと大橋卓弥(スキマスイッチ)。MISIAは物語のキーパーソンのひとり、ゾウのミーナ役として、芯の通った迫力のある歌唱で感動を巻き起こす。また、大橋は、演じている“ゴリラ”というキャラクターと発せられる大橋の繊細な歌声とのギャップや、セリフのシーンにも澄んだ声が印象深く聞こえ、歌ではない部分でも面白みを与えてくれる。


 2人は劇中で、大橋が歌うサム・スミスの「Stay With Me」、ジョン・レジェンドの「All of Me」など落ち着いた曲調で最大限に歌声を響かせるような曲と、MISIAが歌うスティーヴィー・ワンダーの「Don't You Worry 'bout A Thing」といった明るく賑やかなイメージの楽曲など、異なる雰囲気の楽曲を幾つか披露する。それぞれの楽曲のイメージに寄せた歌声を楽しめるのも見どころのひとつだ。


 また、本作で注目したい歌声の持ち主3人をピックアップしたい。


 ブタのロジータ役を務める坂本真綾は、劇中でKaty Perry「Firework」、テイラー・スウィフト「Shake It Off」を披露する。同作は、日本公開版のみ劇中曲も日本語詞のアレンジが施され、いしわたり淳治がその歌詞を手掛けた。しかし、他のキャラクターたちがメインの曲を日本語詞で歌うなか、坂本が劇中で歌唱する曲はほとんどが英詞のままなのが印象的だ。普段から英詞の楽曲を数多く歌唱している坂本とロジータが歌う楽曲との相性の良さが感じられた。同作を観ていて、最も印象深く残っているのが、坂本が楚々とした歌声で「Shake It Off」を歌ったロジータ(&グンター)のステージだった。


 そして、ネズミのマイク役の山寺宏一。これまでもドナルドダックをはじめ、ディズニーアニメ映画の声優を務めている。『美女と野獣』で野獣役、『アラジン』ではジーニー役で劇中のテーマソングを歌唱しており、聞けば誰もが幼い頃から馴染みある楽曲だと思い出すだろう。今作では、マイクが歌を披露し始めると、他のキャラクターたちがその歌声に聞き惚れ、声を失ってしまうほど、表情がいっぺんに変わってしまうシーンがある。のぶとく渋い、ソウルフルに響く山寺の歌声には、きっとスクリーンの前の観客もキャラクターたちの同じ表情をして驚くに違いない。


 最後に注目したい出演者が、女優の長澤まさみ。近年、多くの女優や俳優の歌唱力が数々のドラマや映画をきっかけに評価されている。長澤も、2015年に放送されていた『若者たち2014』(フジテレビ系)で、リサ・ローブの「Stay」をアコースティックギターの弾き語りで披露し、話題になった人物のひとりだ。楽曲のテンポ感覚も正確に、難しい英詞の発音を繊細で透き通った声で歌いこなしていた。放送後にはアコースティック・バージョンの原曲が、iTunesのランキングで上位に急浮上、リサ・ローブ本人も「great cover」と自身の公式Twitterで評価している。実際に『SING/シング』で長澤は、カーリー・レイ・ジェプセンの「Call Me Maybe」を英詞、本作のオリジナル曲「セット・イット・オール・フリー」を日本語詞で披露する。どちらもポップなナンバーで、ハリのある声で歌い上げており、「Stay」の時とは違った長澤の力強い歌声に魅了されるだろう。


 キャラクターたちは、劇中で繰り広げられる歌のオーディションのシーン以外にも数回歌を披露する。ストーリーを楽しみつつも、彼らの歌声が聴ける数回というチャンスを逃さず、コンサート感覚で歌の楽しさにも十分に浸ってほしい。


(大和田茉椰)