F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンは、未来のF1世界選手権がどうあるべきかを検討するために、外部の専門家による委員会の編成を計画している。
以前F1でチーム代表を務めた経験を持つブラウンは、リバティ・メディアのF1買収にともない、今年1月にFOMで現在の役職に就任した。現在はグランプリレースをより面白いものにしていくための、長期戦略の策定に着手している。
近年のF1では、個々のチームの思惑に影響を受けるかたちでルール変更が行われてきた。これに対してブラウンは、知名度のある専門家を集めた小規模の委員会を設置し、ショーとしてのF1を改善するための提言を得ることを計画している。
この数週間、ブラウンはF1関係者との間でその大枠に関する議論を行ってきた。リバティ・メディアは今後の方針を通知するために、今週になってチームとのミーティングを開催。ブラウンはこの件について、以下のように語っている。
「業界で知名度のある人材や専門家たちに、FOM内で取り組みを進めてもらう。誰もが納得する人選になると思う。ごく小さな5~6人のチームになる予定だ。だが私のこれまでの経験と知見で言えば、今後のF1が何をすべきかという適切な議論をし、提言をプロセスに組み込んでいくには、この規模で十分だ」
「ショーの質、レースそのもの、そしてレースコストのバランスは、いかなるときも絶対に考えなければならない。だからF1において我々が決断を下すときにはチェックシートを用意し、各項目が常に満たされることが必要だ」
「競技の品位を保つために、スポーツ面を重視した決断が必要な場合があることも、理解している。一方で『ファンがどう思うのか、どれだけのコストがかかるのか、レースにどう影響するのかを考えたのか?』といった声が上がるような決断を下す可能性もある」
ブラウンは委員会に付託する主なテーマのひとつとして、どのようにしてオーバーテイクを改善するかを挙げた。
「これは複合的な問題だ。マシンが遅くなることは望まない。つまりグリップのレベルは維持しつつ、あくまで後続車の走行を妨げないかたちで実現したい。適した人材を集めて1年から1年半にわたって議論してもらうことで、後続車がきちんと追いかけられるF1マシンを設計する策が編み出せないだろうか?」
「この件が以前オーバーテイク・ワーキンググループで議論されていたことは承知しているが、当時のチームにいまのような知識や能力はなかった」
「CFD(数値流体力学)は大きな違いを生んだ。これは(オーバーテイクを改善するために)あらゆることを見直す新たな機会につながるものだ」
「もし優れた空力グリップがあって、それでも気流を乱さないようなマシンが作れるとしたら……。多くの人がそれは無理だというが、我々はまだ本気で取り組んでいないだけだと、私は思っている」