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WRC:トランプ政策の影響でラリー・メキシコに暗雲? 首都でのSS開催は高評価

2017年03月17日 11:50  AUTOSPORT web

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メキシコの首都で開催されたオープニングステージは高評価
今年1月に誕生したアメリカのドナルド・トランプ政権による影響が、WRC世界ラリー選手権のラリー・メキシコにも及んでいる。

 トランプ大統領は、選挙戦期間中から移民対策強化を表明。大統領就任後もアメリカとメキシコ国境沿いに壁を建築するよう命令するなどの対策に乗り出している。

 こういった政策を受けて、メキシコ通貨のペソは対ドル為替で急落しており、メキシコ経済にも大きな影響が出ている。

 ラリー・メキシコは開催に必要な備品などをアメリカからの輸入に頼っており、この為替変動による余波が直撃。

 加えて、大会のメインスポンサーだったフォルクスワーゲンがシリーズから撤退したことも重なり、現地プロモーターは財政的リスクを抱えているとみられる。

 ラリー・メキシコのディレクターを務めるパトリック・サバビルは今後も同大会を開催していくと語ったものの、トランプ政権による影響は否定できないと語った。

「トランプ大統領の政策によって、たった1週間でメキシコ・ペソは(対ドル為替で)40%も下落した」とサバビル。

「大会運営に必要な備品はすべてアメリカから仕入れている。その価格が急騰したんだ」

「そもそも、我々は開催3カ月前から危機にさらされていた。フォルクスワーゲンがスポンサーを退くと知った時から、新たな契約を模索していた」

「最終的には政府から支援を受けた。トラブルを抱えている私たちに手を差し伸べてくれたんだよ」
■首都でのSS開催は歓迎。「メキシコシティは魅力的な場所」

 結果的に、先週末のラリー・メキシコは大きな問題もなく終了。首都メキシコシティでオープニングステージを実施したことについては、一部から不満の声も出ているというが、多くのチームからは歓迎されている。

 メキシコ有数の観光名所である憲法広場(ソカロ)でのSSは、メキシコ政府支援のもと行われたもの。しかし、サービスパークの設けられたレオンからは約400キロ離れた場所での開催だった。

 そのため走行後、ドライバーやチーム関係者は飛行機でレオンへ移動。ラリーカーは陸路での輸送となったが、マシンを積むトラックが事故渋滞に巻き込まれ、定刻までにレオンへ戻ることができず、この影響でSS3~4がキャンセルされる事態となっていた。

 こういったアクシデントに対しては苦情の声も出ているが、WRCにワークス参戦するマニュファクチャラーからは、首都でイベントを開催することに意義があるとの立場を示している。

 シトロエンのチーム代表、イブ・マトンは「憲法広場でSSが開催されていなければ、ラリー・メキシコ自体が中止された可能性もある」と語る。

「本当に素晴らしい機会だった。次回もやりたいと思うくらいだ」

「メキシコシティで暮らす2200万もの人々の前で、我々がやっていることを披露できるチャンスは滅多にない」

「WRCを観戦するためにメキシコシティからレオンを訪れる人はほとんどいない。だから、マニュファクチャラーにとってメキシコシティは魅力的な場所なんだ」

 Mスポーツを率いるマルコム・ウィルソンも「限られた時間のなかで現地プロモーターが成し遂げたことには脱帽する」とつけ加えた。

「もちろん、いろいろと検証するべき項目はある。しかし、どんな形にしろ、彼らを糾弾する気はまったくないよ」