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【F1新車分析】ウイリアムズFW40:Tウイングを加えた16年型の純粋進化形

2017年03月17日 10:50  AUTOSPORT web

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技術ウォッチャーの世良耕太氏が、2017年のF1新車、ウイリアムズFW40の気になるポイントを解説。基本的に昨年の進化系となったFW40。大きな見どころはTウイングか。 

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 2017年シーズンに臨むウイリアムズFW40は、16年型FW38の純粋進化形に見える。突起を残したノーズまわりの構成はそのままだし(1)、フロントウイングの構成もバルセロナテストまでのところ、FW38と大きく変わらない(2)。



 ステアリングタイロッドをアッパーアームまたはロワーアームと前後平行に配置していないのもFW38と同じだ(3)。フォース・インディアと同様で平行に配置しないのは少数派だが、サスペンションアームと平行にせず独立して配置することで、タイロッドにも空力的な役割を担わせているのだろうか。


 昨年型とあんまりそっくりなので間違い探しのような状況になるが、バージボード~ポッドウイングの作り込みもFW38と変わっていない(4)。このエリアは17年のレギュレーション変更で開発自由度が大幅に高まっているのだが、高い自由度を生かしているようには見えない。16年までの延長線上で十分に性能が出せるということなのだろうか。それとも、まだ、そこまで手が回っていないのだろうか。


 サイドポンツーンのリーディングエッジに片側3枚のバーチカルフィンを並べるのはFW38と同じ(5)。同じ部分があまりにも多いので目立っている(?)のがリヤビューミラーのステーで、FW38よりも上に伸びている(6)。ステーを空力的に利用しているのは間違いなく、トレンドを追いかけた格好だ。

 FW38は卵形のスリムなインダクションポッドを採用していたが、FW40はメルセデスやトロロッソと同様の幅広な開口部を採用してきた(7)。開口部をΛ形に分割して冷却風の行き先を分けている点も共通。

 メルセデス製のパワーユニットを搭載する3チームがすべて同じ設計を採用していている。信頼耐久性の心配をせずにパワーユニットの能力を最大限引き出すには、熱交換器のレイアウトも含めて共通仕様にする必要があるのだろうか。

 3Dレンダリングのみを公開した時点でのエンジンカウルは、FW38のようなヒレ状の処理を施した形状だったが、バルセロナテストに現れたFW40はシャークフィンを設けていた。

 しかも、その後端に流行のTウイングを上下2段に取り付けている。上段のTウイング(8)はそれ自体でダウンフォースを発生。下段(9)はリヤウイングの効率を高めるための整流目的だろうか。それぞれ、ウイングの剛性を高めるための支えが設けられている。

 FW40の見どころは現状、Tウイングのみと言えそうだ。