マクラーレンF1チームが、カスタマーエンジン供給の可能性に関して、元パートナーのメルセデスに打診していると、英AUTOSPORTが報じた。ホンダが今後大きな改善を見せない場合のさまざまな選択肢をマクラーレンは検討し始めているという。
マクラーレンとホンダが再び手を結んで3年目のシーズンを迎えるが、プレシーズンテストでは技術的トラブルが相次ぎ、不調のまま開幕前の走行を終えた。英AUTOSPORTによると、新しいパワーユニットの信頼性とパワーに不満を持つマクラーレンは、他のサプライヤーへの変更の可能性を検討し始めているという。
ホンダは信頼性の問題を解決し、それによってパワーの向上も見せることができると確信しているが、マクラーレンはこれ以上低迷の時期を過ごすことは受け入れられないと考えている。
メルセデスにスイッチするという推測に関して聞かれたマクラーレンは、それ自体については言及していないものの、あらゆる可能性を検討していると述べた。
Sky Sportsが、メルセデスにパワーユニット供給に関する初期的打診を行ったという報道についてマクラーレンに取材したところ、以下のようなコメントを得たという。
「冬季テストは困難で残念なものになりました」とマクラーレンのスポークスパーソン。
「ホンダとともに、不十分だった点、うまくいかなかった点への対処にあたっています。ホンダとともに選択肢を検討しているところです。メディアの推測についてコメントするつもりはありません」
一方、メルセデスはノーコメントの姿勢をとっているということだ。BBCは、メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフはマクラーレンに供給することに関して否定的な考えはないと伝えている。
開幕前にホンダが改善を見せなければ、マクラーレンは予選では最下位、決勝では完走できないという、最悪の状況に陥る可能性もあると懸念されている。
そうなれば、コンストラクターズ選手権の順位による分配金が激減し、2018年に向けてのタイトルスポンサー獲得のための活動も困難になるだろう。
マクラーレンは、エンジンプログラムを押し進めて改善を図るようホンダに強く求め、バルセロナテスト以降、会合を重ねている。その一方で、チームは他のサプライヤーにスイッチする可能性を排除していない。そのひとつの選択肢が、メルセデスのカスタマーエンジンの供給を受けることだ。
メルセデスは今年、カスタマーチームのマノーを失っており、マクラーレンにその分のパワーユニットを割り当てる余裕があるかもしれない。ホンダが改善の兆しを見せなければ、この新契約は今シーズン中にまとまる可能性がある。
英AUTOSPORTが得た情報によると、短期的にメルセデスのカスタマーチームに戻る可能性について、予備的な話し合いはすでになされており、マクラーレンは拒否されてはいないということだ。
しかし交渉を進めるためには、マクラーレンはホンダとの契約を破棄しなければならず、それは簡単なことではない。両者は長期的な契約を結んでおり、ホンダはF1プログラムを改善することに全力を尽くしている。
すでにマクラーレンはホンダにプレッシャーをかけており、今後数週間、数カ月の間にホンダがどこまで改善を見せるかが重要になりそうだ。
マクラーレンはメルセデスエンジンを使用していた際に、カスタマーエンジンではタイトルを獲得することはできないとして、ホンダと契約を結んだ。それにもかかわらず3年でメルセデスに戻るというのは、本当ならマクラーレンにとって好ましい事態ではない。
しかしレーシングディレクターのエリック・ブーリエは、スペインのAS紙のインタビューにおいて、メルセデスエンジンを積んでいたら優勝を狙えると思うかと聞かれ、「イエス。また勝てるだろう」と答えた。