電通の過労死事件から、長時間労働が問題視されている広告業界。はてな匿名ダイアリーに3月16日、「広告業界は終わらない」という投稿があった。投稿者は、中小規模の会社で、大手広告代理店から仕事を受けて大企業の広告を手掛けているという。自らが働く業界をこのように評する。
「一言でいって、この業界のやつらはクソだ。クソな慣習がクソな若手へ脈々と受け継がれているクソな業界だ」
「無駄が多すぎる」「結局、他者をバカにしている」「でも負けない」
その上で、長時間労働を生み出す広告業界の悪い慣習を書き連ねている。最初に挙げられているのは「無駄が多すぎる」ということ。
広告業界では「時間と身体的拘束が最大の忠誠」という風潮があり、早急に終わらせるとやる気がないように思われる。そのため、無駄な待機時間や、無駄な打ち合わせが多いと感じている。飲み会も長くなるのだそうで
「早々に終わったら、盛り上がらなかったみたいで申し訳ないから」
と終電を超えても付き合わなければならないという。
また、なぜか「社内の偉い人>>>>>>>クライアント>営業=制作>>外注」というヒエラルキーになっているため、クライアントがOKを出してるのに、社内の偉い人が23時59分に「ちゃぶ台返し」をして、さらに遅くなることもあるのだそうだ。
他に「結局、他者をバカにしている」とも指摘。広告の受け手である一般大衆、他人が作った広告、他の会社などをバカにする人も多いようで、
「自分の仕事に自信が持てないから、他人や会社を批評することで自分に価値があると錯覚したいのではないか」
と指摘をし「無駄口叩く暇があったら効率よく仕事しろ!」と語調を荒げる。
また、広告作りが好きな人は「頑張りたい人が頑張って何が悪い?」と思っている人が多く見られるという。いい広告を作るために残業と徹夜を重ねるような、プロ意識の高すぎる人たちが業界全体の過労動を引き起こしていると指摘する。
「海外の広告クリエイターは、仕事もバカンスも充実しているのに、なぜこうなった? なんでこんなに非効率な社会になった? みんなのばかー!」
しかし、投稿者は「でも、負けない」と決意。働き方を変えることを意識している。例えば、「夜間や休日には連絡をしない」こと、忙しさを他人と比較する文化を廃絶するため「残業や休日出勤をSNSに書き込まない」。定時で帰りやすい環境を作るためにも、先に退社する人に感じ良く挨拶し、自分が先に退社するときも元気に挨拶をする。
そのために、定時内に集中して仕事をして生産性を高めていけば、長時間労働をなくしていけると考えているといい、「自分に自信があれば、他人のばかばかしい働き方は気にならない」として、最後はこのように締めている。
「絶対に負けない。絶対にこのばかばかしい広告業界を変える」
「腐った業界のために頑張れなくて広告を辞めた」という人も
この投稿に対して、はてなブックマークには様々な意見が寄せられた。広告業界の未来を危惧する人も多い。
「日本の広告業界はGoogleやFacebook、Amazonなどにボロ負けだと思うけど。向こうはAIで戦っているのに、日本人はサビ残で戦っている」
「上の人が『24時間365日考えろ、手を動かせ。数考えろ。俺たちはそうやってクオリティを上げてきた』みたいな人たちだから」
このような現状に、「業界が腐っているとしか思えない。時代遅れじゃないのか」「終わっとるがな」と冷めた意見を言い放つ人もいる。
実際に広告業界で働いていたという人は、
「広告系ITいたけど、30分でさっと資料作って見せたりすると、中身を見ずに『手を抜くな』『120%のものを作れ』。一週間後に同じ資料出すとOKが出る」
と振り返る。また、「とてもじゃないけどこの腐った業界のために頑張れなくて広告を辞めた。広告じゃなくてもクリエイティブはできる」と見切りをつけた人もおり、非効率な働き方にウンザリしている人がかなりいる模様だ。
また、投稿者に対して思うところがある人も少なくはなく、「がんばってほしい」「良き変化のあらんことを」と応援する人がいる一方で、やはり「折れそうになったら逃げろ」と言う人も少なくはなかった。
他にも「広告屋だけじゃなくてクライアントも一緒に変わらないと改善は難しくないか」という意見もある。過労死事件の後、電通では22時消灯になったというが、少なくとも業界全体が意識して変えていく必要はあるだろう。