レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、F1合同テストでフェラーリが戦略的に実力を隠そうとしたことに、レッドブル陣営は懸念を抱いていると語った。
テスト最終日の前日、ベッテルは自身のベストタイムを出したラップで最終コーナーを抜けた後にペースを緩めた。それはフェラーリSF70Hが持つ速さのポテンシャルをライバルたちに明かさないためであるとの見方がなされている。
ベッテルはテスト中のタイムに大きな意味はないと主張しているが、フェラーリがテストで駆け引きができるほどの自信を示したことを、レッドブルチームは心配しているとマルコは語った。
「フェラーリは非常に強力だし、信頼性も高い」とマルコはレッドブルのServus TVチャンネルで語った。「それが昨年と違う点だ」
「少々気になっていることがある。私はベッテルを良く知っている」
「彼はファステストラップのスタート/フィニッシュストレートで、挑発的に減速した。皆、それが分かったと思う」
「こんなことができるのは、マシンにはまだまだ大きな力が潜んでいることを確信し、自信を持っているからだ」
ベッテルのチームメイトであるキミ・ライコネンのタイムからは、フェラーリの真の速さをさらに垣間見ることができた。ライコネンはテスト全体のなかで唯一、1分19秒を切る、1分18秒634のタイムを最終日に記録したのだ。
このタイムはメルセデスよりコンマ7秒、レッドブルよりコンマ8秒速かった。とはいえ、マルコは、チームによって搭載燃料の量とエンジンマッピングの設定が異なるため、テストでは本当の序列を知ることはできないと考えている。
「誰も自分の持ち札を完全には見せていない」とマルコ。「もし10キロ余計に燃料を積んでいたら、0.35秒ほど遅くなる」
「さらに言えば、エンジンマッピングでも異なり、1秒くらいまで速くなることもある。そうでない場合もあるが」
「結局は多くのことが分からないままだ。だが(メルボルンでの)レースがテストと同じような気温の下で行われたら、間違いなくフェラーリは優勝争いに加わってくるだろう」
レッドブルのテストプログラムはルノー製パワーユニットの信頼性の問題に影響を受けたものの、マルコはメルボルンに向けて大幅な進歩が期待できるとし、大きなアップデートを導入する予定であることを示唆した。
「いくつか厄介な不具合があった」とマルコは説明した。「実は起きていたのは毎回同じ不具合だったんだ」
「そのため目標としていた改善をすべて果たすことはできなかった」
「いつものように、メルボルンでは見た目も違う、たくさんの新パーツが用意される。マシンのカラーリングは同じだがね」
マルコはまた、メルセデスに移籍したボッタスはハミルトンに匹敵するパフォーマンスをまだ見せておらず、メルセデスが上位に来るとしても、ライバルチームがハミルトンに近づけるチャンスはあると考えている。
「バルセロナテストでは、ボッタスはハミルトンと同等の速さは見せなかった」とマルコ。
「メルセデスが(去年までと)同じような技術面での優位性を維持しているとしても、以前のように1位と2位を占めることはないかもしれない」
「つまり、他のドライバーがメルセデスのふたりのドライバーの間に割り込むことができる可能性がある」