現在開催中のWTCC世界ツーリングカー選手権公式テストに先立ち、3月9日に開催されたFIAによる臨時のワールド・モータースポーツ・カウンシル(WMSC)にて、今季から創設予定だったTCR(TCN2)規定マシンによる『WTCC-2クラス』の計画が放棄されることが決まった。
昨年のシーズン終了後に、ロシアのラーダがワークス活動からの撤退を表明した余波もあり、前回11月30日に開催された定例のWMSCでは、WTCCに新たな下位クラスの創設が起草されていた。
しかし、今回のFIA世界モータースポーツ評議会臨時総会では「2016年11月30日の世界モータースポーツ評議会の結論で発表されたWTCC-2のカテゴリーは、2017シーズンに削除された」と発表。TCRマシンによる世界選手権新クラスは幻となった。
この決定の背景として、FIAは「ツーリングカー委員会と主催者が2017年にメインカテゴリー(TC1)に完全に集中することを可能にするため」の決断だったとしており、後日発表されたTC1のシーズンエントリーリストに16台のマシンが集まったことによるものとみられる。
またWMSCでは、今季8月6日の開催予定となっていたアルゼンチン、テルマス・デ・リオ・オンドでの第6戦を、7月16日開催に変更することも確認。すでに報じられていた通り第7戦・中国ラウンドも、上海インターナショナル・サーキットではなく新設の寧波国際サーキットでの開催が正式決定している。
この発表に追って3月14日に発表された2017年のフルシーズン・エントリーリストには、全16台のTC1車両が名を連ねており、ホンダとボルボがワークス体制で各3台を投入。昨季王者のセバスチャン・ローブ・レーシングも3台のシトロエン・C-エリーゼWTCCをエントリー。
そしてホンダから移籍したロブ・ハフは、古巣のオールインクルーシブ.comカラーとなるミニッヒ・モータースポーツのシトロエン・C-エリーゼWTCCをドライブ。日本でもおなじみのトム・コロネルは、今季もシボレーRMLクルーズTC1を走らせるROALモータースポーツと7年目のシーズンを戦うことを決めている。
また、フランスのマニクールに本拠を置くRCモータースポーツが、昨季限りで撤退したラーダのTC1マシンであるベスタを引き継ぎ、新たに2台体制での参戦を表明。
ドライバーには4度のWTCC王者であるイバン・ミューラーの甥で、自身もELMSヨーロッパ耐久選手権でクラス優勝などの経験を持つ20歳のヤン・アーチャーを起用。もう1台のマシンに乗るドライバーも、近日中にアナウンス予定としている。
<FIA WTCC 2017フルシーズン・エントリーリスト>
No./Team/Driver/Car
3/セバスチャン・ローブ・レーシング/トム・チルトン/シトロエン・C-エリーゼWTCC
5/カストロール・ホンダ・WTCT/ノルベルト・ミケリス/ホンダ・シビックWTCC
8/ゼングー・モータースポーツ/オーレリアン・パニス/ホンダ・シビックWTCC
9/ROALモータースポーツ/トム・コロネル/シボレーRMLクルーズTC1
12/ALL-INKL.COMミュニッヒ・モータースポーツ/ロブ・ハフ/シトロエン・C-エリーゼWTCC
18/カストロール・ホンダ・WTCT/ティアゴ・モンテイロ/ホンダ・シビックWTCC
25/セバスチャン・ローブ・レーシング/メディ・ベナーニ/シトロエン・C-エリーゼWTCC
27/セバスチャン・ローブ・レーシング/ジョン・フィリピ/シトロエン・C-エリーゼWTCC
34/カストロール・ホンダ・WTCT/道上 龍/ホンダ・シビックWTCC
61/ポールスター・シアン・レーシング/ネストール・ジロラミ/ボルボS60ポールスターTC1
62/ポールスター・シアン・レーシング/テッド・ビョーク/ボルボS60ポールスターTC1
63/ポールスター・シアン・レーシング/ニッキー・キャッツバーグ/ボルボS60ポールスターTC1
68/RCモータースポーツ/ヤン・アーチャー/ラーダ・ベスタ
──/カンポス・レーシング/エステバン・グエルエリ/シボレーRMLクルーズTC1
──/ゼングー・モータースポーツ/ダニエル・ナジー/ホンダ・シビックWTCC
──/RCモータースポーツ/TBA/ラーダ・ベスタ