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マクラーレン・ホンダF1の危機はどれほど深刻なのか(2)危惧される悪循環の果て

2017年03月15日 12:00  AUTOSPORT web

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2017年第2回F1合同テスト2日目 フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)
マクラーレン・ホンダF1チームは、プレシーズンテストで苦しんだにもかかわらず、危機的状況ではないと主張し、周囲の懸念を払拭しようとしている。しかし実際のところ、現状は「危機的状況なのかどうか」ではなく「この危機はどれぐらい深刻なのか」という問題であると英AUTOSPORTは論じ、今の苦境が悪循環の末に、もはや好転させることが困難な事態に及ぶことを危惧している。

 マクラーレンとホンダが新たに手を結ぶと同時にフェルナンド・アロンソがチームに加入したが、現契約は2017年末で切れる。3年目の今年、チームのパフォーマンスに向上が見られなければ、アロンソ離脱の可能性が高まるだろう。

 レーシングディレクターのエリック・ブーリエは、アロンソが来年以降もマクラーレンに残ると思うかと聞かれ、確信が持てないと発言している。

 アロンソは、公式テスト中に「(状況が悪ければ)余計に、続けたいというモチベーション、勝ちたいという意欲が高まる。自分にふさわしい結果を出せずに、よくない気分のままレースをやめたりはしない」と述べ、2018年もF1活動を継続するという強い意志を示した。これは他のビッグチームのオファーを歓迎する、というメッセージにも受け取れる。

 今季低迷から抜け出せなかった場合、マクラーレン・ホンダはアロンソだけではなく、他の有能なスタッフたちも失う危険性が高まる。成績が悪ければ、コンストラクターズ選手権ランキングに応じた分配金も減り、スポンサー獲得も難しくなる。こういった悪循環に陥ってしまうと、そこから事態を好転させるのはますます困難になるだろう。

 英AUTOSPORTは、ホンダが長期的に進歩していくためには、体制を全面的に見直す必要があり、外部からの助けを積極的に借りて、ジル・シモンのようなエキスパートと再び契約し、そういったコンサルタントや、時にはマクラーレンからも指導を受けるべきであると、主張する。新しいアプローチをとり、コミュニケーション体制を改め、変化に対してもっとオープンになり、新しい技術とアイデアを受け入れる必要があるというのだ。

 しかしアロンソは、マクラーレンにとって長期的にホンダと手を組んでいくことが最善の道であるのかどうか、チームは熟考する必要があるとまで考えているかもしれない。

 マクラーレンとホンダは長期契約を結んでおり、ホンダは多額の資金をチームにもたらしていることを考えると、現時点では両者が提携を解消するという道は選択肢にはないだろう。ただ、低迷があまりにも長く続けば、状況は変わるかもしれない。

 万が一、マクラーレンがホンダとの契約を打ち切る場合でも、F1の現在のレギュレーションにより、チームは他社のパワーユニットを得ることが保証されている。

 エンジンマニュファクチャラーは、全チームへの供給の保証に合意している。現在、メルセデス、フェラーリ、ルノーは3チームずつに供給しているが、万が一、マクラーレンがエンジンを失った場合、一定の条件を満たせば3社のうちのいずれかがパワーユニットを提供しなければならない。

 3社は同数のカスタマーチームを持つため、最終的に抽選で決定する可能性もあり、あるマニュファクチャラーは、そのような初の事態が訪れた場合にはテレビでライブ中継をすべきかもしれないと述べたということだ。

 当面、そのような状況に陥ることはないだろう。しかしマクラーレンとホンダの間の緊張感は高まっており、大きな問題を抱えているのは間違いなさそうだ。