マクラーレン・ホンダF1チームは、プレシーズンテストで苦しんだにもかかわらず、危機的状況ではないと主張し、周囲の懸念を払拭しようとしている。しかし実際のところ、現状は「危機的状況なのかどうか」ではなく「この危機はどれぐらい深刻なのか」という問題であると英AUTOSPORTは論じた。
ホンダは8日間のテストのなかで、1シーズンの基数制限を超えるパワーユニットを使用した。2016年よりもパワーが低い状態で走り、そのためドライバーたちはしばしば他車と比べてストレートで20km/h以上の速度差を被ることになった。フェルナンド・アロンソは、第2回テストの2日目、「問題はひとつだけ。パワーユニットだ。信頼性がなくパワーもない。ストレートでは(他のマシンより)30km/h遅い」と発言した。
トラブルが頻発したために走行時間を大量に失い、マクラーレン・ホンダが走った最長のスティントは11周。そのためマシンへの理解を十分深めることができなかった。
公式テスト前日に行ったフィルミングデーの走行時に、すでにいくつかの問題の兆候が見えていた。しかし有効な対策が取られることなくテストがスタート、セッション開始数分後にはすでに、新しいオイルタンクのデザインによる問題が発生し、ガレージ内で長時間の作業が行われることになった。
しかし2日目のトラブルはさらに深刻だった。チームはテスト初日に続いて2日目にもパワーユニット交換を行ったが、その原因の詳細については明かされていない。
第2回テストでスペック2のエンジンを導入。しかしマクラーレン・ホンダの状況は好転する兆しを見せず、電気系のトラブルが最終日まで繰り返し発生した。英AUTOSPORTは、電源がシャットダウンするトラブルの原因は、過度のバイブレーションによりコネクションが揺さぶられることであると報じている。Sky Sportsは、テスト終盤に起きた電気系トラブルに関し、エンジンからのバイブレーションがひどく、それが電気系に影響したと分析した。
テストの全行程のなかで、ホンダは5基のパワーユニットを投入。2017年F1で使用できる基数は4基となっており、それを超えるとペナルティを科される。
信頼性だけではなく、馬力に関しても懸念がささやかれている。パワーが大幅に向上していれば、トラブルが起きてもさほど悲観的にならずに済むが、アロンソはパワーこそが懸念材料であると述べている。
バルセロナでホンダは2016年最終戦アブダビGPより45-50bhp低い状態で走行していたと、英AUTOSPORTは言う。マクラーレンもホンダもその数値を認めていないが、アロンソは、信頼性のトラブルを抱えていたため出力を抑えて走らざるを得なかったと語った。
「今のところ、去年よりもパワーが劣った状態と言えるかもしれない。いろいろな理由によって、ここで走らせているセッティングは決勝用とは程遠いものだ。エンジンがさまざまな問題を抱えているからだ」とアロンソ。
「つまり、今抱えているたくさんの問題を彼らが解決するまでは、(本来の)パワーを確認することはできない」