ツイッターで3月14日、「信賞必罰」という見慣れない言葉がトレンド入りしていた。これはシャープの戴正呉(たいせいご)社長が、成果を上げた社員に報いるという意味で使用した言葉だ。
同社では「信賞必罰」を実行するため、2017年度のボーナスを業績に応じて1か月~8か月分支給することを発表。ボーナスの個人差は最大で8倍になる見込みだ。
「成果を上げた人に報いる『信賞必罰』の人事制度を構築」
同社の広報担当者によると、シャープの戴社長は、13日の記者会見で、2017年度のボーナスは平均で4か月分になることを発表した。昨年、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ったことで業績が改善し、ボーナスは2016年度の平均2か月分から倍増することになった。
ただし個人差は昨年よりも大きくなる。今年度は業績への貢献に応じて、1か月~8か月分を支給する。昨年度は最大1.5倍程度に過ぎなかった個人差が、最大で8倍まで開くことになった。
これは昨年、新社長に就任した戴社長の意向によるものだ。戴社長就任後、シャープは業績改善のため、人員配置の見直しなどを含む構造改革に着手してきた。その一環として打ち出されたのが「成果に報いる人事制度」だ。新しい人事制度のもとでは、成果を出した人にその成果に見合うだけの報酬が支払われる。
13日の記者会見で戴社長は、
「年齢や性別、国籍に関わらず、成果を上げた人に報いる『信賞必罰』の人事制度を構築する」
と発表したという。『信賞必罰』によって、優秀な人材の活躍を後押しすることが狙いだ。
公式ツイッター「それにしても『信賞必罰』にはパワーワード感ある」
「信賞必罰」を徹底するのは、ボーナスだけではない。この3月末には、業績改善やブランド価値向上に貢献をした社員に「社長特別賞」として賞与を支給する。例えば、商品のデザイン賞受賞など社外から評価された社員や売り上げに貢献した社員が対象だ。
また若手社員の活躍を促すべく、新入社員でも業績を上げれば入社半年で昇給することが可能になった。採用面でも、18年春入社の社員を17年の約150人から約300人に倍増させる。採用方法も、新卒の一括採用だけでなく、通年採用や第二新卒の採用を拡大し、優秀な若手の確保を目指す。
こうした改革にシャープ社員はどのような反応をしているのだろうか。広報担当者は、「企業の公式見解ではなく、個人の印象」と断った上で、次のように語った。
「頑張ったことが報われることでモチベーションアップにつながっていると思います。また役職や年齢に関係なくチャンスがあるため、やる気のある若い人には刺激になっていると思います」
なお、シャープの公式アカウントでは、ボーナス1か月~8か月分支給の報道を受け、
「私が何ヶ月分だったか、わかり次第、公表しますね」
「それにしても『信賞必罰』にはパワーワード感ある」
とツイート。アカウントの中の人の賞与がどの程度だったのか気になるところだ。