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TCR中東:最終戦は劇的な幕切れ。元ドイツ王者のホンダ・シビックが中東シリーズ初代王座に

2017年03月14日 16:51  AUTOSPORT web

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第2戦からTCR中東シリーズに参戦したLap57のジョシュ・ファイルズ
今季から冬季リーグ制として全3戦で争われているTCRミドル・イースト(中東)シリーズは、3月11日にバーレーンでの最終戦が開催され、前戦第2戦からホンダ・シビック・タイプRで参戦している元TCRドイツ王者のジョシュ・ファイルズが2連勝を飾り、逆転で初代王者を獲得した。

 レース1に向けた予選でもTCRタイトル経験者の強さをみせ、ファイルズとLap57チームのシビックがポールポジションを獲得。

 日差しのない、曇り空の下で行われたレース1のスタート進行では、ミュルザンヌ・レーシングの17年型アルファロメオ・ジュリエッタTCRがドライブシャフト破損のためピットスタートとなってしまう。

 フロントロウ、ファイルズの背後にはチーム・エングストラーのタイトル候補者で、開幕戦勝者のルカ・エングストラーと、ブレンダン・グドビッチのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR2台が並び、直接対決の舞台が整った。

 ファイルズはスタートでも無難な位置取りでホールショットを決め、レースをリードしていくが、簡単なラップではなかったと本人は振り返る。

「最初から本当にタフな状況だったんだ。タイヤに関して、スタート後からほとんどグリップがなくなってしまうような状況で、最終ラップの頃にはノー・グリップ、ノー・トラクション、何も残ってない! という状態だった」

 その状況は後続のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI勢も同様で、終始2番手でファイルズを追いかけたドイツのティーンエイジャー、エングストラーも、プッシュによりタイヤ負荷を掛け過ぎ、マネジメントに徹していた3番手のチームメイト、グドビッチにファイナルラップで逆転を許す結末に。

 これにより、レース1で勝利を飾ったファイルズが、ポイントリーダーのグドビッチとのギャップを2ポイントに。ランキング3位のエングストラーとも5ポイント差となり、チャンピオンの行方は最終レース次第……という状況でレース2を迎えた。

 小雨がパラつく状況でスタートしたレース2では、リバースポールポジションに着いた3台目のチーム・エングストラー、ジャコモ・アルトのVWゴルフGTIがまさかのストール。

 チャンピオンシップに向けてプレッシャーが減ったファイルズは、ストレート上で全車を抜き去り、1コーナーまでにトップへ浮上。ミュルザンヌ・レーシングの17年型アルファロメオ・ジュリエッタTCRのダビド・カヤイアが2番手で追う展開となるが、オープニングラップの最終コーナーでエングストラーがジュリエッタをパス。王座に向けファイルズを追う体制を採った。

 しかし、無常の結末は4周目のストレートで訪れた。

 初の国際シリーズ・タイトルに向けライバルを追うエングストラーのゴルフGTIが突然のスローダウン。エングストラーは成す術なくマシンをコースサイドに止め、ここで万事休す。

 このトラブルでセーフティカーが導入され、マシン回収で8周後に再開となったが、カヤイアのアルファロメオはステアリングトラブルで19周目に戦列を去ると、ファイルズ、グドヴィッチ、アルトの順でチェッカー。

 イギリス人のファイルズが、栄えあるTCR中東シリーズ・初代チャンピオンの座に輝いた。

「2連勝でチャンピオンシップを獲得するのは素晴らしいことだ。この週末はタイヤに厳しい戦いになり、レース2に向けニュータイヤを温存する判断が僕らを救った。それでも、ファイナルラップにはタイヤが完全に死んでいたからね」とファイルズ。

 2位、3位に入ったグドヴィッチ、アルトのリザルトにより、チーム・エングストラーがチームズ・タイトルを獲得している。