悪コンディション下でのリスタートにおいてスタンディングスタート方式を取るという2017年F1の規則変更の詳細に関してチームが合意、FIA世界モータースポーツ評議会においてこれが承認された。
昨年までは、雨天などでセーフティカー先導で走行がスタートした場合、セーフティカーが退去した後、ローリング方式によってレースが本格的にスタートした。
しかしそれによってスタートの興奮が損なわれるとの考えの下、今年はセーフティカースタートとなっても(これは雨に限らず、コース上にオイルが出ているなどの悪コンディションすべてが対象になる)、これが退去した後は、全車がグリッドにつき、スタンディング方式でレースをスタートする。
チームはこの規則について、さまざまな状況を想定して協議してきたが、ついに合意に至った。
まず、悪天候が理由の場合、これまでどおり、セーフティカースタートの際、全ドライバーがフルウエットタイヤ装着を義務付けられる。
セーフティカー先導中の周回は実質的にフォーメイションラップと位置づけられるが、この周回は1周を除き、決勝本来の周回数から差し引かれる。
ピットスタートとなったドライバーは、セーフティカーが先導するグループの後方について、フォーメイションラップを走り、コンディションの確認を行うことができる。しかしセーフティカーが退去する際には再びピットレーンに戻り、そこでレーススタートの手順を実行する。
一方、ピットからスタートするドライバーは、セーフティカー先導のフォーメイションラップに参加することを義務付けられはしない。フォーメイションラップを走らずに他より多い燃料を積んでスタートすることが有利に働くという見方もある。レースが実際にスタートした後、燃料を他車よりもセーブしないで済むからだ。しかしチームは、燃料を多く積んで重い状態で走るデメリットの方が大きいという判断で、この規則に同意した。
セーフティカーの後ろを走っている際にピットに入り、本格的なスタートに備えてインターミディエイトあるいはスリックタイヤに交換することは許されない。そのような行為を行った場合、10秒のストップ&ゴーペナルティを課される。
また、スタート前のセーフティカー出動中にピットインしたドライバーは、ピットレーンからスタートを切らなければならない。
セーフティカー先導下のオーバーテイクは今後も禁止されるが、誰かが出遅れた場合には、「フォーメイションラップがスタートした時の本来のスターティング順位、あるいはピットから出た時の順位を取り戻すためであれば、オーバーテイクすることができる」と規則に記されている。セーフティカーが退去する前にポジションを取り戻せなかったドライバーは、ピットからのスタートを強いられる。
セーフティカー先導のもとに周回を重ねていても、コンディションが改善しない場合、レースディレクターは全車をピットに戻し、天候の改善を待つという判断を下すことができる。
この状況では公式にはレースはスタートしておらず、従ってレースの中断とはみなされない。しかし再度セーフティカー先導の下で走行がスタートした場合、もはやスタンディングスタート方式は取られない。