WRC世界ラリー選手権第3戦メキシコで優勝したクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)は、最終ステージでコースアウトした際、「神に祈るような」心境だったと語った。
2017年のチャンピオン候補筆頭に挙げられながら、開幕2戦では不運が続き、思うようにポイントを獲得できていなかったミーク。
迎えたラリー・メキシコでは序盤に総合首位に立つと、危なげない走りでリードを拡大。最終SS前には総合2番手のセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)に対し37.2秒ものギャップを築いてみせた。
しかし、その最終SSに波乱が待ち受けていた。ミークが高速右コーナーへアプローチした際、マシンが大きくバウンド。コントロールを失ったマシンはアウト側の茂みに突入すると、その先にある観戦者用駐車場へ飛び出してしまった。
ミークはコースへ復帰したものの、このアクシデントで20秒以上のタイムをロス。しかし、それまでに築いていたマージンに救われ、昨年の第8戦フィンランド以来となる総合優勝を果たし、チームに新型WRカーでの初勝利をもたらした。
コースアウトの状況について、ミークは「大きなミスをしてしまった」と振り返る。
■スタッフのガッツポーズで勝利を実感
「高速右コーナーへのアプローチでブレーキを踏んだ際、マシンが大きく横滑りした。そのタイミングでマシンが跳ね上がってしまい、茂みに突っ込んでしまったんだ」
「コースアウト直後は、神に祈るような気持ちだった」
「駐車されているクルマの間を通ってコースに戻ろうとしたけれど、どんどん道が狭くなっていった」
「その先は行き止まりになっていると思ったから、あわててハンドブレーキを引いてUターンした。視界に入るまでコースへ戻れる道があるなんて想像もしなかったよ」
「正直、褒められるような走りではなかった。それでも勝つことができたから、喜んでいる」
「フィニッシュ直後は勝ったのか、負けたのか見当もつかなかった。ただ周りのスタッフがガッツポーズしているのを見て、実感が湧いたんだ」
「(チーム代表の)イブ・マトンも、普段とは違う理由で拳を握りしめているだろうな思ったよ!」
シトロエンが勝利したことで、今季のWRCでは開幕3戦で異なるメーカーが優勝を手にしたこととなる。最上位クラスに挑むメーカーのなかで唯一勝利していないのはヒュンダイのみだ。